生活保護でも作業所に通える?
もちろん!通っている人はたくさんいるよ。
交通費も経費として控除されるよ。
作業所(就労継続支援B型事業所/A型事業所)に通いながらでも、生活保護は受けられます。
作業所に通っているという理由だけで生活保護が打ち切られたり、申請できなかったりはしません。
「生活保護と作業所を併用したら収入や交通費はどうなるか?」も解説します。
「就労指導が厳しい/うざい」と思っている人にも作業所はおすすめです!
↓A型事業所の場合はこちら
生活保護でもA型事業所に通える!交通費は?いくらまで稼げる?
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作業所で働くと生活保護費が減る?
生活保護はB型事業所等の作業所で収入を得ていても、申請可能ですし、それだけが理由で打ち切られたりもしません。
実際に、生活保護を受けながら作業所に通っている人たちはたくさんいます。
ただし「生活保護費」と「作業所の収入」がそれぞれ満額でもらえるわけではありません。
Q.9 働いているのですが、生活保護を受給することはできますか。
A.9 働いていて、就労収入がある方でも、その収入及び資産が厚生労働大臣が定める基準(最低生活費)に満たない場合には、生活保護を受給することができます。この場合、収入と最低生活費を比較して、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。
引用元:厚生労働省「R5.5生活保護制度に関するQ&A」
収入がある場合は生活保護費が減額されます。
B型事業所の工賃でも「収入」とみなされるので、基本的には「最低生活費-収入」の給付金が、翌月にもらえるのですが‥
最低生活費はいくら?
最低生活費は単身者で約10万~13万円/月ですが、扶養親族の人数や地域によっても異なります。
「生活保護 金額 自動計算(布施弘幸 行政書士事務所)」というサイトで概算を計算できるのでよかったらご利用ください。
稼いだ分、生活保護費が減るなら「働くと損」じゃん!
と思う人もいるでしょう。
しかし、安心してください。
生活保護でも作業所に通うことで、総収入が増えるしくみもあります。
具体的に増える金額を解説します。
工賃と生活保護費の計算!収入はいくら増える?
結論から言えば、作業所の収入が約15,000円を超えなければ生活保護費の減額はなく、稼いだ分だけ収入が増えます。
この「約15,000円」は勤労控除と呼ばれ「生活保護受給者が収入を得ても労働意欲がなくならないように」という理由もあって導入されているしくみです。
収入に応じて勤労控除額は増えていくので、15,000円を超えても働く意味はあります。
収入金額 | 控除額 |
---|---|
0~15,199円 | 収入と同じ |
15,200~18,999円 | 15,200円 |
19,000~22,999円 | 15,600円 |
23,000~26,999円 | 16,000円 |
27,000~30,999円 | 16,400円 |
31,000~34,999円 | 16,800円 |
35,000~38,999円 | 17,200円 |
※主な勤労控除である「基礎控除」の金額です。実際にはもっと細かく分けられています。
就労継続支援B型事業所の利用者で、工賃が15,000円を下回る場合は、工賃の分だけ収入が増えます。
「収入-勤労控除」を最低生活費から差し引いた分が、翌月に支給されるので、収入が勤労控除額を超えても返還する必要はありません。
例1:工賃8,000円/月の場合
工賃8,000円/月の場合は、勤労控除額が収入と同額の8,000円になるので、以下のように計算されます。
- 生活保護費(支給額)
最低生活費-(8,000円-8,000円)
- 総収入(手元に残るお金)
生活保護費+工賃=最低生活費+8,000円
最低生活費が月額10万円であれば「10万円+8,000円=108,000円」が総収入です。
工賃が15,200円以下なので、生活保護費は満額受給でき、工賃(=勤労控除額)分の8,000円収入が増えます。
例2:工賃3万円/月の場合
工賃3万円/月の場合は、勤労控除額が16,400円になるので、以下のように計算されます。
- 生活保護費(支給額)
最低生活費-(3万円-16,400円)
- 総収入(手元に残るお金)
生活保護費+工賃=最低生活費+16,400円
最低生活費が月額10万円であれば「10万円+16,400円=116,400円」が総収入です。
2つの例を見てわかるように、収入がいくらであっても、それに応じた勤労控除額の分だけ、手元に残るお金は増えます。
就労移行支援
収入制限は?いくらまで稼げる?
「B型事業所での工賃収入」と「その他の収入(障害年金等)」の合計が、最低生活費を上回った場合に生活保護が停止&廃止される可能性があります。
合計が最低生活費以下になる工賃収入なら、稼げば稼ぐほど「手元に残るお金」は増えます(ただし、約15,000円/月を超えると増加しにくくなる)。
作業所への交通費は?生活保護だと‥
生活保護の場合、作業所に通勤/通所するための交通費であれば、収入認定される金額から、さらに交通費分が経費として差し引かれます。
A型事業所でもB型事業所でも同様です。
例えば、先ほどの例2(工賃3万円、勤労控除額16,400円、最低生活費10万円)で交通費が1万円だとすれば、以下が支給される生活保護費です。
- 生活保護費の例(支給額)
10万円-(3万円-16,400円-1万円)=96,400円
上記に工賃の収入「+3万円」と交通費の支出「-1万円」を加えると、実際の総収入は例2と同じ116,400円となります。
- 収支の例(手元に残るお金)
96,400円+3万円-1万円=116,400円
「収入 > 交通費」なら、働くことで総収入は増えます。
「収入 < 交通費」となった場合は、差額の分、生活保護費が減ってしまう可能性も一応あるので、担当のケースワーカーに確認してみましょう(※1)。
交通費分を含めた額が支給されるので、交通費のみ支給されたり、後から交通費分だけ返還されるわけではありません。
交通費などの経費も、収入とあわせて申告が必要です。
生活保護を打ち切られる人
就労継続支援B型事業所に通って、生活保護が打ち切られる可能性があるのは以下の2パターンです。
生活保護を打ち切られる人
1.作業所の工賃が最低生活費を上回っている
2.作業所の工賃とその他収入の合計が最低生活費を上回っている
B型事業所の平均賃金は月額:約17,000円なので「1」に該当する場合はあまりありません。
しかし、クリエイティブ系など一部の作業所で月額10万円前後の工賃が支払われることもあるので注意してください。
「2」のように、もともと障害年金などをもらっていて、工賃と合わせて最低生活費を上回る状態が続いても、生活保護は打ち切られます。
実際にはすぐに打ち切りではなく、いったん停止となり、3か月ほど様子を見て「不要」と判断されれば打ち切られます。
働けるのに働かないのは不正受給
生活保護が打ち切られるからといって、収入が得られるのに得ようとしないのは不正受給にあたります。そもそも生活保護は「本人が最大限努力しても足りない生活費」を補う制度なので、自立できる人は少しでも自立しましょう。上記2パターンの場合「打ち切られる」というよりは「生活保護から脱却」なのでとても良いことです。
「働くと損だから通わない」じゃなくて、働ける人は少しでも働くべきだよ。生活保護には税金が使われているからね‥。
就労移行支援
生活保護の新規受給ができない人
生活保護は「資産や能力などあらゆるものを活用しても最低生活費に満たない」という要件を満たせば、誰でも受けられることになっています。
なので、以下の場合は、生活保護を受けられません。
生活保護を受けられない例
・働けるのに働いていない
・車や不動産などの資産を売却していない(※1)
・障害年金やその他手当など受けられそうなものがあるのに活用していない(※2)
・親族に援助を申し出てくれている人がいる
・申請時に最低生活費1か月分より多い預貯金が残っている
作業所に通っている人も要件を満たせば申請できますし、生活保護を受給中の人も給料含む収入の合計が最低生活費に満たないなら、作業所に通い始めても打ち切られることはありません。
ちなみに生活保護は「世帯単位」なので、生計を共にする家族の収入や資産も合わせて判断されます。
生活保護だと作業所は強制?
生活保護の就労指導がうざい‥。拒否したいんだけど‥。
生活保護受給者の中には、厳しい就労指導を受けていたり、作業所に行きたくないと思っていたりする人もいるでしょう。
生活保護だからといって作業所(B型事業所/A型事業所)への通所が強制というわけではありません。
生活保護は「本人が最大限努力しても足りない生活費」を補う制度なので、通える人は少しでも通うべきですが、ケースワーカーが強要することはできません。
作業所に「通えない」のであれば拒否できます。
就労指導を回避する方法
・B型事業所やA型事業所に通う
・医師に作業所の通所不可という意見書をもらう
とはいえ、厳しい就労指導はしんどいですよね。
作業所へ通い始めれば、就労指導されなくなる可能性が高いので、一度見学だけでもしてみましょう。
対人恐怖が強い人でも大丈夫です。「人が苦手」な利用者もたくさん通っています。
生活保護で作業所に通うメリット
生活保護受給者は無料で作業所に通えます。
「自立したい」「社会復帰したい」と思っている人には特におすすめです。
作業所に通うメリット
・就労指導されなくなる
・ひきこもりから脱却できる
・低いハードルでコミュニケーションの練習ができる
・収入が増える
・社会に居場所ができる
特に就労継続支援B型は、1日短時間で週1日から通えたり、体調悪い日は休みやすかったりなど、通いやすい作業所です。
「人がいるから嫌だ」などと先入観を持たず、まずはお近くの施設を見学してみませんか?
見学してみれば、意外と「自分も通えるかも」と思えるかもしれません。
とりあえず見学に行ってみよう!
少しでも「作業所に行ってみようかな‥」と思えた人は、ぜひお近くのA型事業所やB型事業所を見学してみてください!
施設によって雰囲気や訓練内容は大きく違うので、2~3か所見学することをおすすめします。
当記事が参考になれば幸いです。
就労移行支援