就労移行支援

就労移行支援2年過ぎても就職できなかったら?その後どうなる?

ヤンネコ

就労移行支援で2年過ぎても、就職できなかったら?

期限切れたら、その後どうなるの?

まず、期限切れになりそうな人は延長申請しよう!

期限切れで就職できなかったら、その後は家で過ごしたり、B型事業所へ移ったりする人が多いよ。

ガイドさん

就労移行支援を受けて就職できなかった場合は「他の支援施設を利用する」または「いったん家で過ごす」という選択肢があります。

ただし、就労移行支援で2年過ぎても、期限切れになる前に延長申請しておけば、3年目・4年目も利用できる可能性があります。

就職できなかったら・辞めた後

・就労継続支援B型事業所

・就労継続支援A型事業所

・ハロートレーニング(職業訓練等)

・自立訓練事業所

・地域障害者職業センター

・障害者就業・生活支援センター

・家で過ごす

当記事では‥

A君

就職できなかった!2年過ぎたら辞めた後どうすればいい?

期限切れになりそう‥。

C君

という人向けに、前半で「延長申請」、後半で「各支援機関や家で過ごすことのメリット・デメリット」について詳しく解説します。

ガイドさん

「就労移行支援で就職できなかった人は、その後何しているか?」の実態調査の結果も紹介するね。

当サイトの情報は記事執筆時点で収集したものです。厚生労働省等の情報を参考にしていますが内容を保証するものではありません。詳しくは各自治体や事業所等へお尋ねください。

2年過ぎる前に延長申請しよう!

就労移行支援事業所には原則2年の利用期限があります。

しかし、延長申請して審査に通れば「+数か月~1年」の延長が認められます。

ガイドさん

3年以上‥4年目、5年目の利用も場合によっては可能だよ‥

近年はコロナの影響で延長や期間リセットの特例措置があったりするんだよね‥

ヤンネコ
↓最短就職にこだわらないほうがいい理由も↓
平均利用期間は?最短は?

延長申請は「期限切れ」の前に‥

延長したい場合、利用者は「期限切れになる前」に通っている施設へ延長希望を伝える必要があります。

施設と市区町村が連携して手続きを進めることになるので、時間がかかります。

遅くとも有効期限の2か月前には、延長希望と伝えておきましょう。

ガイドさん

厚生労働省の調査によると、利用者全体の約6%が3年目、4年目の利用だよ。

就労移行支援から就職した後に退職して、再度利用したい場合などは期間リセットされることもあるよ。

期間を延長できる人には条件があります!

↓以下の記事で「条件」「延長申請の流れやコツ」「期間リセット」「新型コロナの影響」について詳しく解説したのでご覧ください。

↓結局、何年・何回まで利用できる?↓
3年以上の利用や延長方法

就職できなかったら?その後どうなる?

A君

就職できなかった人の実態が知りたい!

就労移行支援事業所を利用しても就職できなかった場合、その後は「在宅で過ごす」または「就労継続支援B型事業所へ移る」というケースが多くあります。

以下は「就労移行支援事業所を辞めた後どうしているのか?」を表したグラフです。

就労移行支援に就職できなかった人のその後
就労移行支援退所者のその後

※退所者のうち就職者や他の就労移行支援事業所へ移った人を除いた数値

※参考:東京都福祉保健局(令和 3年度 就労移行等実態調査 結果概要)

在宅41.2%
就労継続支援B型15.6%
他の障害福祉サービス8.4%
就労継続支援A型4.4%
その他30.4%
ガイドさん

上のグラフは「2年過ぎても就職できなかった人」のほか「2年以内に辞めた人」も含んでいるけどね‥

就労継続支援A型と就労継続支援B型は、就労移行支援と同じ障害福祉サービスです。

就労移行支援ほど就職に強くはありませんが、賃金がもらえる人気の就労支援サービスです。

↓気になる方は以下もご覧ください。

↓A型は月6~10万円/B型は月1~2万円の賃金↓
就労継続支援とは?
↓支援内容や対象者・就職サポートの違い↓
就労移行支援と
就労継続支援A型B型の違い

B型事業所をおすすめされることが多い理由

就労移行支援で2年過ぎても就職できなかったら、就労継続支援B型をすすめられることが多くあります。

就労移行で2年経過した利用者は、再度、時間をかけて一般就労に取り組むことができるよう、希望がある場合、就労継続支援B型事業の利用に切り替えて支援することがある。

引用元:障害者職業総合センター(取り組み例)

理由は、多くの就労移行支援事業所(約6割)が、B型事業所も併設しているためです。

ガイドさん

事業所側は「利用者を確保して運営を安定させられる」、利用者側は「なじみのある事業所から支援を受け続けられる」というメリットがあるよ。

ただし、本人の意思は尊重されるので「絶対に辞めた後、B型事業所に行かなければならない」ということはありません。

利用したい他のサービス等があった場合は断りましょう。

就職できなかった人の選択肢

就労移行支援を利用して就職できなかったら、その後は「就労継続支援」「ハロートレーニング」「その他の就労支援センター」「家で過ごす」などの選択肢があります。

就職できなかった人の選択肢

・就労継続支援B型事業所

・就労継続支援A型事業所

・ハロートレーニング(職業訓練等)

・自立訓練事業所

・地域障害者職業センター

・障害者就業・生活支援センター

・家で過ごす

それぞれのメリット・デメリットを解説します。

就労継続支援B型事業所

就労継続支援B型は、就労移行支援と同じ障害福祉サービスの1つです。

一般企業や他の就労支援施設(A型や移行)に通うのが難しい障害者に、働く場を提供する就労支援サービスです。

ガイドさん

B型事業所、B型作業所などと呼ぶ人もいるよ。

自分のペースで週1~5日通い、1日1~6時間の作業を行うよ。

「雇用契約を結ばない」などの特徴があります。

「就労移行支援で安定した通所ができず、就職できなかった人」に向いています。

メリット

・就労移行支援や就労継続支援A型が難しい人でも通える

・月1~2万円の工賃がもらえる

・作業内容や通所ノルマのハードルが低い

・通える事業所を探しやすい

・障害福祉サービスなので多くの人は無料

ガイドさん

作業内容は「データ入力、クリーニング、部品加工、パン・お菓子づくり、製造、手工芸、清掃」など、簡単な軽作業中心だよ。

接客、農作業、eスポーツなど行える作業所もあるよ。

全国に14,000施設以上あるので、就労移行支援事業所(約3,000施設)や就労継続支援A型事業所(約4,000施設)より通いやすいという特徴があります。

自分の体調に合わせて通いやすく、生活リズムを整えていけます。

施設数は令和3年時点の情報です。

デメリット

・退所しても失業保険はもらえない

・人によっては作業が簡単すぎる

・就職にはあまり強くない

雇用契約を結ばないので、辞めた後でも失業保険(雇用保険)はもらえません。

就職率はA型事業所や就労移行支援事業所よりも低く、就職にはあまり強くありません。

ガイドさん

B型事業所から一般就労へ移行する人がいないわけじゃないよ。

ただ、B型事業所で生活リズムを整えた後、A型事業所で就労経験を積んで就職を目指すのもありだよ。

就労継続支援A型事業所

一般企業で働けない障害者が雇用契約を結んで働ける場所です。

就労移行支援や就労継続支援B型と同じく、障害福祉サービスの1つです。

ガイドさん

A型事業所、A型作業所などと呼ぶ人もいるよ。

1日3~6時間、週3~5日安定して勤務する必要があるよ。

「雇用契約を結ぶので、最低賃金以上の給料がもらえる」などの特徴があります。

週3~5日、安定して通える人で「バイト並みに生活費を稼ぎながら社会参加したい障害者」に向いています。

必要な最低通所日数(週何日通う必要があるか?)は、施設ごとに異なります。

メリット

・月6~10万円の給料がもらえる

・一般企業に近い環境で働ける

・軽作業など仕事内容も比較的簡単

・退職後に失業保険がもらえる

・障害福祉サービスなので多くの人は無料

ガイドさん

仕事内容は「データ入力、清掃、部品加工、製造、検品、シール貼り」などの軽作業中心だよ。

Webデザイン、イラスト制作、動画編集などクリエイティブ系の事業所も増えてきているよ。

筆者も障害者として、A型事業所で数年間働いていましたが、個人的にはかなりおすすめです。

一般就労できない障害者が「障害配慮を受けながら働けて、アルバイト並みの給料も稼げる」のはA型事業所しかありません。

デメリット

・B型より仕事や通所のノルマがやや厳しい

・就労移行支援と比べると就職支援が乏しい

就職率はB型事業所と比べると高いですが、就労移行支援事業所には劣ります。

事業所にもよりますが、就職サポートは就労移行支援ほど手厚くありません。

ガイドさん

とはいえ、A型事業所のサービス利用終了者のうち、4人に1人は就職しているよ。

A型事業所では雇用契約を結んで働くので就労実績として評価されやすいのはメリットだよ。

ハロートレーニング(職業訓練等)

全国のハローワークで申し込める国の職業訓練制度です。

雇用保険(失業保険)を受給できる人は「公共職業訓練(離職者訓練)」、受給できない人は「求職者支援訓練」を受けられます。

ガイドさん

訓練期間は2か月~2年と、訓練コースごとに大きく異なるよ。

障害者専用の訓練コースもありますが、募集前・募集中の訓練数は全国で109件しかないのが現状です(2023年2月3日現在)。

上記は事業所数ではなくコース数です。

障害福祉サービスとは違い、受講するには面接・筆記試験などがあります。

「専門技能を身につけたい」かつ「安定した通所が可能」な人に向いています。

メリット

・無料で受けられる(※1)

・就職に強い

・専門的な訓練が多い

・求職者支援の場合、条件を満たせば給付金がもらえる

※1:テキスト代等は自己負担。自己負担額は訓練によります(0円~15万円ほど)

就労移行支援と同じく、就職には強いとされています。

デメリット

・1日6~7時間、週5日ほど安定して通う必要がある

・障害配慮は乏しい

・障害者訓練は少ない

・面接や筆記試験があり、倍率は高め

定員に対して希望者が多いうえ、面接や試験もあるので、就労移行支援より受講のハードルは上がります。

訓練時間は長く、基本的に週5日通う必要があります。

ガイドさん

求職者支援の給付金を受ける条件の1つに「全ての訓練実施日に出席」があるよ。

就労移行支援で週5日通所できなかった人は難しそうだね‥。

ヤンネコ

基本的には専門スキルを身につけるための訓練なので、障害配慮などは就労移行支援や就労継続支援に劣ります。

自立訓練事業所

体調管理、金銭管理など、障害者が自立した生活を送れるよう支援する福祉サービスです。

就労移行支援や就労継続支援と同じ障害福祉サービスですが、メインは就労支援ではなく生活支援です。

自立訓練には、生活支援がメインの「生活訓練」と、身体機能の向上等を図る「機能訓練」があります。ここでは生活訓練について解説します。

ガイドさん

週1~5回の通所、または訪問、宿泊などの形があるよ。

「2年の利用期限がある(生活訓練)」などの特徴があります。

「就労移行支援で通所が安定しなかった人、体調管理などの生活支援を受けたい人」に向いています。

メリット

・障害配慮を受けながら、自己管理・コミュニケーション・地域生活での支援/訓練が受けられる

・通所等のハードルが低い

・障害福祉サービスなので多くの人が無料

生活支援に特化しているので、生活リズムの改善などに役立ちます。

デメリット

・就労支援がメインではない

・収入は得られない

自立訓練も就職を見据えた支援を受けられますが、生活支援による間接的サポートがメインです。

就労継続支援のような工賃や給料は発生しません。

↓自立訓練の詳細はこちら。似た支援として「自立生活援助」や「共同生活援助(グループホーム)」も紹介しています。

↓自立生活援助・共同生活援助も↓
就労移行支援と自立訓練の違いは?

地域障害者職業センター

求職中/在職中の障害者に対して、職業リハビリテーション(※1)を無料で行う機関です。

都道府県ごとに最低1か所、設置されています。

※1:職業リハビリテーションとは、障害者や重い病気を抱える人が自分に合った職業に就き、安定して働き続けられるよう支援することを言います。

ガイドさん

「就労面中心の支援」「通所で職業準備支援を受けられる」「施設数が少ない」などが、次で紹介する「なかぽつ」との違いだよ。

「自分がどんな仕事に向いているか知りたい人」などに向いています。

メリット

・職業評価を受けられる

・最長12週間の職業準備支援を受けられる

・ジョブコーチから職場定着支援を受けられる

職業評価では「どんな仕事に向いているか?どんな支援があれば働けるか?」などがわかります。

職業準備支援では、履歴書作成講座、面接練習、JST(職場対人技能訓練)、作業実習など受けられます。

デメリット

・各都道府県に1~2か所なので通いづらい

・スキルを身につける訓練としては物足りない

・支援を受けられないケースもある

利用者の希望に添えない場合や、支援によって改善が見込まれない場合は断られるケースもあるとのことです。

他には「職業準備支援を受けられるまで意外と時間がかかる」といった声もあります。

障害者就業・生活支援センター

地域の障害者へ就業面・生活面に関する相談や支援を無料で行う施設です。

間に「・」があるので「なかぽつ(しゅうぽつ/就ぽつ)」とも呼ばれています。

ガイドさん

就職準備訓練や生活支援も行っているけど、関係機関を紹介する「総合相談所」といった感じだよ。

全国に300か所以上あるよ。

「自分が今度どうすればいいかわからない人、相談・情報収集したい人」などに向いています。

メリット

・就労面/生活面の幅広い相談に対応している

・自分に合った支援や機関を教えてくれる

・基本的な就職準備支援も受けられる

・職場実習の斡旋なども受けられる

「履歴書の書き方」「面接の受け方」「ビジネスマナー」の講習など、基本的な就活支援も受けられます。

デメリット

・毎日通うような訓練所ではない

・助言や情報提供、他の機関への斡旋等、間接的サポートがメイン

決まった支援メニューがあるわけではないので、「〇〇をしてほしい」といった具体的な希望を伝えるなど、ある程度の自主性も求められます。

家で過ごす

就労移行支援から就職できなかった場合、その後は他の支援を受けずに「家で過ごす」といった人は多いようです。

ガイドさん

いったん落ち着いて家で過ごして、就職できなかった原因をじっくり考えるのもいいかもね。

「就職できなかったショックが大きい」「疲れた、とにかく休みたい」という人に向いています。

メリット

・ゆっくり休める

・今後のことをじっくり考えられる

・どこかへ通う必要がない

・独学できる時間がたくさんある

体調不良が原因で就職できなかった人は、まずはゆっくり休みましょう。

落ち着いてきたら、これまでに紹介した支援機関を利用して、再度就職を目指してみましょう。

デメリット

・生活リズムが乱れやすい

・家族からのプレッシャーがつらい

・就職への具体的な行動がないと焦る

良くも悪くもダラダラできてしまうので、注意が必要です。

これまでは「就労支援施設に通っていた」おかげで、家族から何も言われなかった人も、外に出なくなると、うるさく言われることも増えるかと思います。

ヤンネコ

無職やニート生活に慣れすぎると、引きこもりになっちゃうかもね‥

↓在宅訓練できる就労移行支援事業所も↓
就労移行支援の
在宅訓練の対象者は?
↓メリット・デメリットも↓
引きこもりの
就労移行支援 体験談

最後に‥

就労継続支援やハロートレーニングを始め、障害者向けの就労支援は、就労移行支援以外にもあります。

就職できなかった人へのおすすめ
就労継続支援B型通所ハードルの低い事業所で月1~2万円稼ぎつつ、障害配慮を受けながら働きたい人
就労継続支援A型月6~10万円の給料をもらいつつ、障害配慮を受けながら働きたい人
ハロートレーニング1日6~7時間、週5日ほど安定通所できて、専門スキルを身につけたい人
自立訓練通所等での訓練を受けながら自立生活するための支援を受けたい人
地域障害者職業センターどんな仕事が向いているか知りたい人や基本的な就職支援を受けたい人
なかぽつどうすればいいかわからず、相談・情報収集したい人
家で過ごすとにかくいったん休みたい人
ガイドさん

落ち着いたら「次は何しよう」と考えることが大事だよ。

情報収集して、じっくり検討しよう!

幸いにも障害者の就労支援は、基本的に無料で行われています。

就職できないと自信を失いがちになりますが、自暴自棄にならないよう注意しましょう。

記事がお役に立てば幸いです。

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