就労移行支援には、どんな特徴があるの?
就労継続支援と似ているし、名前も覚えづらいよ‥
就労移行支援の特徴や名前の覚え方を、就労継続支援との違いをふまえて解説するね。
就労移行支援と就労継続支援は、いずれも障害福祉サービスにて提供される就労支援です。
就労移行支援という名前の「簡単な覚え方」や、就労継続支援と比較した場合の「特徴8つ」をわかりやすく説明します。
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就労移行支援の覚え方
就労移行支援事業所は、一般就労を希望する障害者が就職支援を受けられる施設です。
「『一般就労』へ『移行』させるための『支援』なので『就労移行支援』」と覚えましょう。
就労継続支援と違って、就職を目指すことに特化しているのが特徴です。
就労移行支援の利用例
・就職/再就職を目指す
・復職を目指す
就労継続支援の覚え方
就労継続支援事業所は、就職困難な障害者に仕事や作業の機会を提供する施設です。
「『就労』を『継続』させるための『支援』なので『就労継続支援』」と覚えましょう。
就労移行支援と違って、作業所で働き続けること自体が、利用者の目的でもあります。
就労継続支援の利用例
・作業所で何年も働き続ける
・就労移行支援を目指す
就労継続支援から、直接就職する人もいるよ。
就労移行支援ほど、就職支援は充実していないけどね‥。
就労継続支援は「就労継続支援A型」と「就労継続支援B型」の2種類あります。
↓就労継続支援の詳細や、A型事業所とB型事業所の違いは、以下の記事をご覧ください。
就労継続支援の違い
A型とB型の違い
就労移行支援の特徴8つ
特に就労継続支援A型B型と比較した場合、特徴は以下の通りです。
就労移行支援の特徴
1.対象者は「一般就労を希望する人」
2.「働く場」ではなく「訓練する場」
3.利用期限がある
4.平均利用期間が短い
5.お金はもらえない
6.就職に強い
7.就職後の職場定着率が高い
8.就職実績があるほど事業所にお金が入る
順にわかりやすく解説します。
1.対象者は「一般就労を希望する人」
就労移行支援の対象者は「一般就労の希望がある原則65歳未満の障害者」です。
利用者全員が、就職や再就職(または復職)を目標に利用しているのが特徴です。
就労移行支援の対象者【例】
・一度も就職したことがない人
・就労経験はあるがブランクが長い人
・転職を繰り返しているので安定した長期就労を目指したい人
軽度の障害者やグレーゾーンの方も医師の意見書等があれば利用可能です。
事業所によっては週1~2回の半日から通えますが、就職準備を開始できる程度には、症状が安定している必要があります。
↓詳しい利用条件は、以下の記事をご覧ください。
↓就労移行支援の利用条件
就労移行支援の対象者や利用条件は?年齢制限は?健常者や在学中、在職中でも利用できる?
就労移行支援
2.「働く場」ではなく「訓練する場」
就労継続支援事業所は「生産活動する場」ですが、就労移行支援事業所は「就職訓練する場」です。
就労移行支援 | 就職や再就職 |
---|---|
障害者雇用・一般雇用など雇用形態問わず、一般企業等への就職を目指す | |
就労継続支援 | 働き続ける |
障害配慮を受けながら作業所での福祉的就労を続ける |
就労移行支援は「PC訓練」「コミュニケーション訓練」「ビジネスマナー」など、訓練の幅広さも1つの特徴です。
「応募書類添削」「面接練習」などの就職サポートも充実しています。
逆に就労継続支援では、軽作業(部品検品、梱包等)を中心とした生産活動が行われているよ。
利用目的が違うから、支援内容も違うんだね。
就労移行支援は「働いてお金を稼ぐ」のではなく、「利用料を支払って、訓練を受けさせてもらう」サービスです。
近年は「IT特化型」や「資格取得サポートがある」就労移行支援事業所も増えてきました。
3.利用期限がある
原則2年の利用期限があるのも、就労移行支援の大きな特徴です。
就労移行支援サービスの支給決定(≒受給者証の発行)から2年です。
2年以内に就職しなきゃいけないんだね‥。
ちなみに、就労継続支援A型B型には、利用期限がないよ。
市区町村の許可が下りれば、期間の延長やリセットも可能です。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
延長・再利用・リセット
4.平均利用期間が短い
期限があるため、就労移行支援の利用期間は平均すると短めです。
就職までの平均利用期間は1年4か月です。
就労継続支援は、5年、10年‥など、もっと長く利用し続ける人が多いよ。
就労移行支援の最短利用期間や就職スケジュールについては、以下をご覧ください。
↓期間は?最短を目指すデメリットは?
就労移行支援は平均1年4か月・最短2か月!期限は2年だが延長/リセット可能かも?
就労移行支援
5.お金はもらえない
就労移行支援では、基本的に給料や工賃などのお金はもらえません。
就労移行支援で賃金がもらえないのは「就職訓練に特化しているため」です。
就労移行支援 | 工賃なしの事業所がほとんど |
---|---|
※一部の就労移行支援事業所では、生産活動にて月1~2万円の工賃が発生 | |
就労継続支援 | 給料や工賃が発生する |
A型:月6~10万円ほど B型:月1~2万円ほど |
利用者の人件費がほとんどかからない分、事業所は指導員の人件費や設備投資など、他の部分にお金を掛けられます。
なので、より就職支援に特化したサービスを提供できるという仕組みです。
就労継続支援は事業収入もあるから、賃金とか支払えるけど、就労移行支援は事業収入がないからね‥
利用者負担額が「ほぼ無料」というだけでも、十分お得なサービスだけどね。
就労移行支援を利用する場合は「家族からの援助」「障害年金」「失業保険」「生活保護」等で、利用中の生活費を確保する必要があります。
就労移行支援事業所
6.就職に強い
就労移行支援は、就労支援サービスの中で「最も就職に強い」という特徴があります。
就職者数や一般就労移行率は、就労継続支援A型B型と比べて圧倒的です。
就職者数 | 一般就労移行率 | |
---|---|---|
就労移行支援 | 13,288人 | 54.7% |
就労継続支援A型 | 4,185人 | 25.1% |
就労継続支援B型 | 4,446人 | 13.2% |
※一般就労移行率は、サービス利用終了者に占める一般就労への移行者割合を指しています。
※参照:厚生労働省:社会福祉施設等調査
A型事業所やB型事業所から就職している人も、それなりにいるじゃん。
そうだね。
でも、就職を目指すなら、やっぱり就労移行支援が一番おすすめだよ。
就職サポートの手厚さが全然違うよ。
就労継続支援では「利益につながる生産活動(軽作業等)」をひたすら行いますが、就労移行支援では「就職のための訓練」に集中できます。
就労継続支援では、基本的に就労移行支援ほどの手厚い就職サポートは受けられません。
就活者は就職率70~80%?
7.就職後の職場定着率が高い
就労移行支援の卒業生は、就労支援サービスの中で「最も仕事が長続きする」という特徴もあります。
就職後の職場定着率は、障害者全体や就労継続支援の卒業生と比べて、約23~24%高いというデータもあります。
就職後1年の職場定着率
就職後1年の定着率 | |
---|---|
就労移行支援 | 82.3% |
就労継続支援A型 | 59.0% |
就労継続支援B型 | 59.2% |
障害者平均 | 58.4% |
就労移行支援の卒業生の「仕事が長続きする理由」は、以下の通りです。
- 「自身の障害理解」「体調管理」「職場での対応」など、就職後を見据えた訓練がある
- 就職後6か月以上の職場定着支援がある
例えば‥
自分の障害特性がわかり、上司に配慮を求められるようになった。
職場でトラブルが起きにくくなった‥。
自分なりの体調管理法を身につけられたので、仕事に通い続けられるようになった。
などの変化を感じられます。
就職先を自身の特性に合わせて、スタッフと相談しながら決めることも可能です。
職場定着支援では、いつでも悩みを相談できたり、トラブルの際、支援員が職場との間に入ってやりとりしてくれたりもします。
8.就職実績があるほど事業所にお金が入る
運営に関する話だよ。
障害福祉サービスの就労支援は、運営費の大半が、行政からの給付金(報酬)でまかなわれています。
給付金の額は、利用者数や通所日数などによって変化しますが、メインとなる「基本報酬」は、事業所の実績に応じて決定されます。
報酬金額決定の判定要素 | |
---|---|
就労移行支援 | 定員に対しての6か月職場定着している就職者割合(※1) |
就労継続支援A型 | 「1日の平均労働時間」「生産活動収支(※2)」「多様な働き方」「支援力向上」「地域連携」の総合評価 |
就労継続支援B型 | 平均工賃など |
就労移行支援の場合は「6か月仕事が続いている就職者」が多いほど、事業所にお金が入ります。
なので、事業所も「より多くの利用者を就職させる」ことに本気です。
支援の目的が違うから、報酬体系も違うんだね。
就労移行支援に向いている人
今回紹介した特徴をふまえると、就労移行支援には以下2つに当てはまる方が向いています。
- 2年以内に就職したい人
- 給料なしでも通所期間中の生活費が何とかなりそうな人
今回の記事が、お役に立てば幸いです。
↓失敗しない事業所の選び方
失敗談も!就労移行支援事業所の選び方・探し方!どこがいいか迷ったら‥
就労移行支援