精神科デイケアを勧められたんだけど、デメリットやメリットは?
就労支援の違いと共に解説するね。
精神科デイケアも就労支援も、どちらも精神疾患や発達障害を持つ人におすすめのサービスです。
- 精神科デイケア
主に精神障害(または発達障害)のある人が、病気の再発防止や社会生活に慣れることなどを目的に、様々なグループ活動を行う通所施設。
- 就労支援サービス
精神障害・発達障害・知的障害・身体障害や難病を持つ人が、障害配慮を受けながら働いたり、就職を目指すための訓練を受けられたりする通所施設(※1)。
精神科デイケアのデメリット・メリットを紹介すると共に、筆者も通ったことのある就労支援との違いを解説します。
施設によっても、大きく雰囲気や支援内容が異なるので、通う前に複数箇所を見学して比較しましょう!
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精神科デイケアのメリット・デメリット
まずは、精神科デイケアのメリットとデメリットを解説します。
通う前にしっかり把握しましょう!
メリット
特に「病気の再発防止」や「再入院の防止」効果が高いのが特徴です。
- 生活リズムが整う
決まった時間に通所することで、生活リズムを整えることができます。良質な睡眠や精神安定、症状軽減などにつながります。
- 適度な活動で体力がつく
通所やレクリエーション、ウォーキングなどの軽い運動プログラムによって、無理なく体を動かし、衰えた体力を取り戻すことができます。
- 他人と交流できる
デイケアではグループ活動も多く行われるため、人との交流が生まれます。気分転換になったり、コミュニケーションの練習の場にもなります。
- 日中の居場所ができる
日中外出することになるので、引きこもりから卒業するきっかけになります。家にいると気まずい人にもおすすめです。
- 家族の負担軽減
長い時間、一緒に家にいると、お互い気を使ってストレスを感じることもあるでしょう。前向きに社会復帰に取り組む姿勢は、家族にとっても安心につながります。
日本精神神経診療所協会の調査によると、精神科デイケア利用後のほうが入院率が減少する結果が出ており、再入院防止の効果等が示されています。
精神科デイケア等の効果として、再入院の予防、新規の入院の減少効果、同時に入院期間と入院回数においても大幅に減少することが明確になった。
引用元:厚生労働省 平成25年度「精神科診療所における地域生活支援の実態に関する全国調査について」
デメリット
プログラムは多くの人に通いやすいレベルに設定されているため、「物足りない」と感じる人も一定数いるようです‥。
- やりがいに乏しい
音楽鑑賞、塗り絵、雑談、太極拳など‥「意味ない」「くだらない」という声も一部で上がっています。プログラムはゆるいものが多く、放任主義の施設では「やることがない」という声も聞かれます。
- 費用が掛かる
保健センターなど公的機関が行う場合は、無料で受けられることも多いですが、病院のデイケアは基本有料です。後者の場合でも自立支援医療制度を利用すれば、1割負担の800円/日程度で利用できます。
- 就職支援は手厚くない
簡単なコミュニケーション訓練やPC訓練など行うところもありますが、就職支援に特化しているわけではありません。本格的に就職を目指したい人は、就労支援の「就労移行支援」のほうをおすすめします。
- 期限がある場合も
6ヶ月~3年など、期限が設けられていることがあるので注意してください。実施機関によっては期限がないこともあります。
「つまらない」と感じるかどうかは人にもよるよ。
上記の他にも、グループ活動や利用者間での人間関係に疲れたりすることもあるようです。
就労支援の種類
障害福祉サービス(公的支援)における就労支援施設には、主に以下3種類があります。
いずれも、ほとんどの人が無料で利用可能です。
リモートで在宅支援を受けられる事業所もあるよ。
- 就労移行支援事業所
就職支援に特化した就労支援施設です。PC訓練、コミュニケーション訓練、ビジネスマナー講座、資格取得支援、応募書類の添削、面接練習&面接同行など、本格的な就職支援が受けられます。週1~5日、1日2~6時間ほどから、自分のペースで通うことが可能です。3つの中で唯一「原則2年」の利用期限があります。
- 就労継続支援B型事業所
低いハードルから就労支援を受けられます。病気の配慮を受けながら、1日1~6時間、週1~5日ほど簡単な作業(就労訓練)をこなします。雇用契約は結びませんが、月1万~2万円ほどの工賃がもらえます(事業所によっては月5万円以上も!)。体調に合わせて休みも取りやすく、次に紹介するA型事業所より利用難易度は低めです。
- 就労継続支援A型事業所
B型事業所より少し厳しい就労支援が受けられます。病気の配慮を受けながら、1日4~8時間ほど、軽作業等の仕事(就労訓練)をこなします。雇用契約を結ぶので最低賃金が保障され、月6万~10万円の給料がもらえます。基本的に週5日通う必要があり、B型事業所より休みに厳しく、求められる仕事スキルも高くなります。一般就労よりは低いハードルです。
近年はIT系やクリエイター系、eスポーツなど、事業所によって多様な訓練が受けられるようになりました。
「B型から就労移行」「B型からA型」など、ステップアップしていく人もいます。
復職支援を受けられるところもあります。
就労移行支援
精神科デイケアと就労支援の比較
ざっくり違いをまとめると以下の通りです。
先ほど説明した通り、就労支援はサービス種類により、さらに細かく支援や対象者が分かれます。
精神科デイケア | 就労支援 | |
---|---|---|
対象者 | ・精神障害者 ・発達障害者 (※1) | ・精神障害者 ・発達障害者 ・知的障害者 ・身体障害者 ・難病患者等 |
支援内容 | 主に病気の再発防止や社会生活スキルの向上のため、音楽鑑賞、読書、塗り絵、ヨガ、ウォーキング、体操、卓球、コミュニケーション講座など、簡単なプログラムを受けられる。 | 主に社会復帰や就職のため、障害配慮を受けながら、低いハードルで作業したり、仕事して給料もらえたり、就職に特化した訓練を受けられたりする。 |
料金 | 病院のは基本有料、公的機関では無料で受けられることも多い。 | ほとんどの人が無料で受けられる。(※2) |
※1:主に知的障害がないことが前提。
※2:住民税課税者は9,300円/月などの上限まで負担あり。
※実施施設によって細かく異なる部分があります。上記は参考程度にご覧ください。
「対象者」や「支援内容」について、詳しく解説します。
「対象者」の違い
いずれも「社会復帰を目指すための場所」または「社会生活の居場所」ではありますが、対象者や利用目的は微妙に異なります。
精神科デイケアは「再発や再入院の防止&リハビリ」、就労支援は「就労訓練」の側面が強くなります。
支援 | 対象者の例 |
---|---|
精神科デイケア | 精神疾患や発達障害で通院中の人のうち、レクリエーション的な活動を通して病気の再発や再入院を防ぎたい人。社会生活に慣れたり、居場所がほしい人。 |
就労移行支援 | 手厚い就職サポートや就職後の定着サポートを受けたい人少しずつ体を慣らしたりスキルアップしたりしながら、就職を目指したい人。 |
就労継続支援B型 | A型事業所で働く自信はないものの、自分のペースで就労訓練を受け、月1万~2万円ほどの工賃をもらいながら、社会参加やスキルアップを図りたい人。 |
就労継続支援A型 | 一般企業等で働くのは難しいが、障害配慮を受けながらであれば、週5日安定して働ける人。最低賃金以上の給料がほしい人。 |
基本的にはいずれも、通院や医師からの許可は必要です。
就労支援サービスは、見学や体験で事業所を決めたら、市区町村役場へ利用申請する必要があります。
「支援内容」の違い
「精神科デイケア」のほうが、レクリエーション的でゆるい雰囲気です。
支援内容の例 |
---|
【グループ活動等】 エクササイズ、ヨガ、ウォーキング、卓球、リラクゼーションプログラム、料理、お茶会、SST、音楽鑑賞、PC、絵画などの創作、編み物、ストレッチなど(※1) |
【面談などのサポート】 |
※1:簡単なビジネスマナー講座などの就労支援や、復職支援を行う機関もあります。
「就労支援」では作業や仕事、訓練を通してスキルアップも図れます。
支援内容の例 |
---|
【社会系訓練】 コミュニケーション訓練、感情コントロール、運動プログラム、通勤訓練、障害理解、生活リズム安定、セルフケアなど |
【ビジネス系訓練】 ビジネスマナー、電話対応/来客対応、タスク管理、履歴書の添削、敬語や報連相、面接練習など |
【スキル系訓練】 タイピング、Word/Excel、Web制作、プログラミング、デザイン、イラスト、農作業、清掃、接客、調理、軽作業、簿記、ビジネス英会話など |
【就職&定着支援】 就職相談、求人探しの手伝い、ハローワークや面接の同行、企業見学や職場実習の手配、独自求人、就職後の定着サポートなど |
※就労定着のための支援は、就労継続支援でも受けられることがありますが、一般的には就労移行支援が最も手厚いです。いずれも就職6ヶ月後からは、利用者が望めば就労定着支援という別サービスにて支援が行われます。
支援内容の例 |
---|
【作業・仕事】 軽作業(検品、組立、箱折等)、IT(プログラミング、Webデザイン、CAD等)、イラスト/デザイン、eスポーツ(ゲーム)、データ入力、カフェやレストランでの接客/販売、ネットオークションへの出品、手芸/雑貨づくり、パン/クッキーづくり、清掃など |
いずれも「精神保健福祉士」「臨床心理士」「作業療法士」など、専門家のサポートを受けられることがあります。
支援の手厚さや雰囲気は、個々の実施機関により大きく違うこともあるので、通う前に見学して確認しましょう。
就労移行支援
どっちがおすすめ?
どちらがおすすめかは「利用目的が何か?」によります。
いずれも、コミュニケーション苦手な人でも通いやすい雰囲気があるよ。
就労支援がおすすめな人
まず「就職を目指したい」人は就労移行支援がおすすめです。
次に「収入がほしい人」や「作業や仕事を通してスキルアップしたい人」は、就労継続支援を検討しましょう。
A型のほうが賃金は高いですが、体調が不安定だったり、自信がなかったりする人はB型から始めてみましょう。
B型事業所は、特に障害者の「居場所」の側面もあり、社会復帰の第一歩としてもよく利用されます。
精神科デイケア同様、就労支援施設もコミュニケーションの練習の場になるので、対人関係が苦手な人にもおすすめです。
精神科デイケアがおすすめな人
「就労支援は難しそう」「ついていけなかった」という人におすすめです。
就労支援のように、工賃や賃金はもらえませんが、非常に低いハードルから社会生活を体験できます。
慣れて退屈さを感じ始めたり、合わないと思ったりしたら、就労支援へのステップアップも検討しましょう。
最後に‥
医者や家族に勧められた人も、「どのサービスにするか?」は自分でしっかり考えて決めましょう。
何度も言いますが、実際に見学して比較することをおすすめします。
雰囲気や支援内容をしっかり確認しよう!
多いわけではありませんが、人間関係や恋愛がらみのトラブルが起こることもあります。
「トラブルを起こしそうな人・変な人はいないか?」「どんなスタッフがいるか?」も要チェックです。
通所には一定以上の頑張りは必要ですが、ストレスで「つらい」「辞めたい」と感じたら、辞めてもOKです。
居心地の悪さ・気持ち悪さを抱えたまま通っても、体調を悪くするだけです。
気楽に考えて、気になる施設を一度見学してみてください!
就労移行支援