就労継続支援A型

就労継続支援A型とは? 7年通った感想や体験談

就労継続支援A型とは「一般就労(※1)が難しい障害や難病を持った人たちが、配慮を受けながら雇用契約を結んで働ける」障害福祉サービスです。

就労継続支援A型のサービスを実施している障害者支援施設を「就労継続支援A型事業所」といいます。

正式名称は「就労継続支援A型事業所」ですが、「A型作業所」と呼ぶ人もいます。

就労継続支援A型の特徴

・障害や病気の配慮を受けながら働ける

・就労支援サービスで唯一、雇用契約を結ぶので給料がもらえる

・給料は月額7万~10万円ほどで最低賃金が保障される

・仕事内容は軽作業が多いが、近年はIT系の仕事も増えている

・週5日、1日4~6時間の勤務が多い(※1)

・ほとんどの人が無料で利用できる

※1:週3日から通えたり、1日7~8時間、フルタイムで働けたりする作業所もあります。

就労継続支援A型は「雇用契約を結ぶ」「最低賃金が保障される」などの点が、就労移行支援・就労継続支援B型などと違います。

全国に約4,000施設あり、約8万人の利用者が働いています(令和3年時点)。

※1:一般就労とは「企業や公的機関などに就職して、労働契約を結んで働く一般的な就労形態」です。それに対し、就労継続支援のように福祉サポートを受けながら働くことを「福祉的就労」と呼びます。

実は筆者も、障害者としてA型事業所で約7年間働いていました。

A型事業所で7年働いた感想

結論から言えば「かなりおすすめ」です。利用前は病気により、まともに仕事が続かず、金銭的にも精神的にも追い詰められていました。しかし、A型事業所は一般就労に比べて作業難易度が低く、まわりも自分と同じ障害者ばかりだったので、とても気楽に過ごせました。

以前は対人恐怖も非常に強かったのですが、まわりの人がやさしく話しかけてくれたり、ほめてくれたりしたおかげで、だいぶしゃべれるようにもなりました。途中でスキルアップのためにWebデザインを学べるA型事業所に移動しましたが、業務を通して自信がつき、現在の独立につながっています。

自分にとっては人生を立て直す大きなきっかけとなりました。たまに人間関係のトラブルがあったり、施設によって職員の良し悪しが様々だったりしますが、総合的にはかなりおすすめです。通う前に施設の評判や口コミを調べて、2~3施設は見学しておきましょう!

就労継続支援A型事業所について、さらに詳しく知りたい方は以下をご覧ください。

自身の体験談も交えて解説します。

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当サイトの情報は記事執筆時点で収集したものです。厚生労働省等の情報を参考にしていますが内容を保証するものではありません。詳しくは各自治体や事業所等へお尋ねください。

Q. 対象者は?どんな人が通ってる?

就労継続支援A型事業所に通えるのは「一般企業などで働くことが困難な障害者・難病患者」です。

就労継続支援B型と比べて、比較的軽度の障害者が多く働いています。

精神障害者、発達障害者、知的障害者、身体障害者、難病患者、いずれも利用できます。

就労継続支援A型の対象者

・就労経験(※1)はあるが現在は働いていない人

・特別支援学校を卒業して就活したが雇用に結びつかなかった人。

・就労移行支援を利用したが雇用に結びつかなかった人

※1:パート、アルバイト、派遣社員、契約社員など非正規雇用の職歴でもOK。

参考:厚生労働省「障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス」

上記いずれかの条件に当てはまる障害者・難病患者なら利用できます。

年齢制限は原則18歳以上65歳未満ですが、条件を満たせば18歳未満や65歳以上でも働けます(詳細は以下)。

健常者は対象ではありませんが、医師の意見書さえあれば、障害者手帳なしでも利用できます。「グレーゾーン」や「境界知能(知的ボーダー)」など症状が軽い人も利用できる可能性があります(※1)。

※1:利用条件や基準は自治体ごとに若干違いがあります。最終的には各市区町村が利用可否を判断します。

「就労継続支援B型からA型」「就労移行支援からA型」へ移行するのも問題ありません。

筆者の体験談

読者の中には「A型って変な人や、おかしい人とかいない?」と不安になる方もいるかもしれませんが、実際には「何も言われなければ障害者だとわからないくらいの人」が大半です。確かに変わっている人はいたものの、まわりに危害を加える人はいませんでした。自分と同じ『コミュ障』な人も少なくなかったので気楽でした。

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Q. 仕事内容は?

就労継続支援A型事業所の仕事内容は「誰でもできるような簡単な軽作業」が中心ですが、近年は「Webデザイン」「動画編集」などパソコンを使った高度な仕事も増えてきています。

作業内容の例をいくつか紹介しますが、これら以外にも非常に多種多様な仕事があります。

仕事内容の例
軽作業・部品加工や検品/組立
・お菓子の箱折り
・商品の仕分け/シール貼り
・商品の梱包
・PCでデータ入力
IT・Webデザイン/HP作成
・Webライター
・プログラミング
・CAD製図
・SNSの配信代行
・動画編集
デザイン・デザイン制作
・イラスト作成
飲食店・カフェやレストランの接客/調理
・クッキーなどのお菓子/パンづくり
・弁当の盛り付け
その他・農業
・eスポーツ/ゲーム
・ホテルや他施設の清掃
・インターネットオークション作業代行
・アクセサリー、手芸品の制作/販売
・宅配サービスの補助
・クリーニング

施設ごとに行っている仕事は全く違うので、注意してください。

未経験でも挑戦できる仕事は多くあります。

基本的に求められるハードルは低いですが、仕事という意識を持って真剣に取り組みましょう。

障害特性に合わせて「仕事内容」「環境」「求める品質やスピード」など配慮してもらえます。

筆者の体験談

筆者は1つ目の施設で「車の部品検品」「お菓子の箱折」など内職の軽作業、2つ目の施設で「Webデザイン」「コーディング」「Webライティング」など行いました。1つ目の施設では正直「こんな簡単な作業でアルバイト並みの給料がもらえるのは本当ありがたいな‥」と思ってました。2つ目の施設では企業からHP作成案件を受注し、デザインやコーディングをして納品したりなどしていました。「自宅や通勤電車内で勉強+職場で実践」という生活をしていました。

Q. 給料平均は?手取りは?

厚生労働省によると、全国の就労継続支援A型事業所の平均給料は「月額81,645円」です(令和3年度)。

A型事業所では最低賃金が保障されるので、アルバイト並みの賃金が得られます。

時給900~1,200円ほどが相場で、年収は100万円ほどになります。

大抵の場合、社会保険(※1)は月額:数百円程度の雇用保険料のみ天引きされるだけで、給料のほぼ全額約8万円が手取りです。

多くのA型事業所では雇用保険料のみ天引きされますが、一部の事業所では厚生年金保険、健康保険などにも入れることがあります。

ただし、都道府県ごとに平均賃金は大きく異なります!

A型事業所の平均給料(都道府県別)
平均賃金(月額)都道府県
9.5万~10万円東京
9万~9.5万円広島、島根、和歌山
8.5万~9万円高知、京都、長崎、福井、長野、佐賀
8万~8.5万円鳥取、兵庫、大分、滋賀、神奈川、岩手、山口、大阪、岡山、茨城、埼玉
7.5万~8万円愛知、静岡、岐阜、山形、香川、北海道、宮城、福岡、福島、三重、千葉、奈良
7万~7.5万円熊本、徳島、新潟、秋田、群馬、鹿児島、栃木、沖縄、山梨、愛媛、富山
6.5万~7万円石川、青森、宮崎

施設や担当作業によっても、賃金や昇給制度はバラバラです。

障害年金とA型事業所の給料だけで一人暮らししたり、グループホームから通ったりする人もいます。

一部の高額な賃金をもらえる施設を除き、就労継続支援A型事業所の給料だけで一人暮らしの生活はできないので注意してください。

Q. メリットやデメリットは?

就労継続支援A型事業所のメリット/デメリットは以下の通りです。

メリット

・障害や病気に理解のある環境で働ける

・一般企業より低いハードルで働ける

・アルバイト並みの給料がもらえる

・コミュニケーション練習の場になる

・ほとんどの人が無料で利用できる(※1)

・社会復帰のきっかけになる

・生活リズムが整う

※1:無料になる人とならない人の違いは、後述の「利用料金」で解説します。

全般的に障害者に対して理解があるので、とても働きやすかったです。

一般企業の障害者雇用よりも働くハードルは低くなっています。

他にも「受け入れられやすい環境で人と交流できるため『対人恐怖がやわらぐ』『自信がついてコミュニケーション能力が上がる』」などのメリットも感じました。

人によっては「無職ではなくなり家にいる時間も短くなるので、家族からのプレッシャーが弱まる」「友達ができる」などのメリットも得られます。

デメリット

・週3~5日安定して出勤する必要がある

・就職支援は比較的乏しい

雇用契約を結んで働くので、体調がある程度安定している必要があります。

体調が悪い時、どこまで「休んでいいよ」と許容してくれるかは施設によります。

就職特化の支援ではないため、就職者数は就労移行支援に劣ります。

ただし、A型事業所から一般就労する人も決して少なくはありません(詳しくは後述の「Q. 一般就労する人の割合は?」で解説)。

「給料なしでも生活できる人」で「就職特化型の支援を受けたい人」は「就労移行支援」のほうがおすすめです。

筆者の体験談

筆者が特に感じたメリットは「コミュニケーション能力の向上」「環境のハードルの低さ」「給料」などです。障害がある人ばかりなので、健常者のみの一般就労より他の人ともしゃべりやすく、作業も割と楽にこなせました(障害者ばかりといっても、健常者に見えるくらい十分に意思疎通できる人が大半です)。

はじめは対人恐怖が強すぎて全然しゃべれませんでしたが、少しずつ自信がついて話せるようになったのを強く実感しました。「時間を短くしてもらう」「個室で昼食を取らせてもらう」などの配慮もありがたかったです。職場で磨いたスキルも現在の仕事でとても役立っています。人と会うのがおっくうすぎて行きたくない時もありましたが、今では本当に行ってよかったと思っています。

Q. 週何日から?1日のスケジュールは?

就労継続支援A型は週5日が大半ですが、週3日から通える施設もあります。

1日の利用時間は4~6時間のところが多いですが、1日8時間勤務のフルタイムで働ける施設も一部あります。

就労継続支援B型よりは休みが少ないですが、有給休暇が取得可能です(例:8割の出勤率で半年後に10日もらえる)。

ガイドさん

体調が悪い場合は「遅刻」「早退」もできるよ。

1日の勤務時間(労働時間)のスケジュールは、朝9時または9時半に朝礼があり、1時間昼休憩をはさんで、昼過ぎの15時または15時半に終わる施設が多くあります。

午前や午後に、各10~15分の小休憩が入る施設も多くあるので、体力に自信のない人でも働きやすくなっています。

Q. 利用料金は?

ヤンネコ

仕事なのに、なぜ利用料が必要なの?

就労継続支援A型は、障害福祉サービスの一環なので、サービス費(運営費の大半)の9割を「都道府県と市区町村」、1割を「利用者」が負担するという仕組みがあります。

利用者の仕事の売上だけでは運営費が全然まかなえないので、本来は1日500~1,000円ほどの利用料金が必要です。

しかし、所得(≒収入)に応じて、ひと月の上限負担額が決まるしくみもあり、9割以上の利用者は「利用者負担額0円(無料)」で通えています。

筆者も利用料金を1円も支払わずに7年通いました。

住民税が非課税(※1)なら、無料になります。非課税でなくても、特別な事情がある場合は減額や免除になるケースもあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

※1:例:給与収入・扶養親族なし・障害者控除なしなら、年収約100万円以下、障害者控除ありなら年収約200万円以下が目安。

Q. 利用方法は?

A型事業所を利用するには手続きが必要です。難しくはありません。

自治体や施設によって、多少手続きが前後することもありますが、利用の流れはだいたい以下の通りです。

  • 1.施設探し

    「〇〇県 就労継続支援A型事業所」で検索するなどして、気になる施設を見つけましょう。

  • 2.見学

    施設に連絡を取って見学します。施設によって雰囲気が大きく違うので2~3施設見学するのがおすすめです。気になることがあれば質問しましょう。

  • 3.ハローワークで紹介状をもらう

    通いたい施設が決まったら、ハローワークに行って、面接を受けるために必要な紹介状を発行してもらいます。

  • 4.面接

    通う施設の面接を受けます。

  • 5.受給者証の申請

    A型事業所で働くには障害福祉サービス受給者証という利用許可証が必要です。面接に合格したら、市区町村役場で申請しましょう。

  • 6.利用開始

    受給者証が発行されたら、施設と利用契約を結んで利用開始です。

就労継続支援A型事業所で働きたい場合「障害福祉サービス受給者証」や「ハローワークの紹介状」が必要です。

どちらも取得は難しくありません。職員が案内してくれます。

よくわからなければ、家族や支援者に相談してみましょう。

筆者の体験談

正直、利用の流れを理解していなくても「A型事業所で働きたい」と施設か市区町村役場(障害福祉課)に伝えることさえできれば何とかなります。筆者も利用する前は、利用方法について全然理解していませんでしたが、施設や役所の職員が丁寧に「次何すればいいか?」を教えてくれたので、スムーズに利用できました。

Q. 面接で落ちることもある?

A型事業所には一般のアルバイトと同じように「面接」があります。

面接で落ちることはありますが、一般のアルバイトよりはハードルが低いです(施設によっても利用者に求めるレベルは違います)。

身だしなみを整え、履歴書をきちんと書いて、最低限の受け答えができれば、不採用になる確率をだいぶ下げられます。

特に指定がなければ、面接の服装は、私服で問題ありません。

対人恐怖が強くても大丈夫!

これまで書いてきたように筆者も利用当初は相当強い対人恐怖がありました。それでも面接に落ちたことはありません。「あらかじめ聞きたいことをメモしておく」「自分の症状・知ってほしいことを紙にまとめて見せる」など工夫し、挙動不審になりながらも面接を受けました。「筆談」「家族や支援者に同席してもらう」なども良いと思います。

Q. 交通費の支給は?

A型事業所は原則交通費が自己負担ですが、なかには月額:数千~1万円ほどを補助として支給している施設もあります。

自治体によっても、交通費の助成を行っているケースがあるので、受給者証の申請で市区町村役場へ行ったときに、たずねてみましょう。

駅からの送迎を行っている施設も多くあります。筆者が通った施設にも、送迎や交通費手当がありました。

Q. 見学や体験時の服装は?

特に指定がなければ、私服で問題ありません。

仕事内容や作業所によっては「動きやすい服装」など、求められることがありますが、見学の際は特に気にしなくて大丈夫です。

Q. 一般就労する人の割合は?

就労継続支援A型事業所から一般就労する人は25.1%です(4人に1人)(※1)。

就職する人は全くめずらしくありません。一般雇用も障害者雇用も目指せます。

就職者数は年々増え続け、令和元年時点で1年間に4,000人以上がA型事業所から就職しています。

※1:参考:厚生労働省「障害者の就労支援について」令和元年データ

Q. 厳しい?クビもある?

A型事業所の利用者に対する厳しさは「施設によりけり」です。

筆者は2つの施設に通いましたが、1つ目の施設では「なかなか休めない」など欠勤や作業姿勢に対して割と厳しく、2つ目の施設では「障害者に無理をさせない」という姿勢があり、欠勤や遅刻・早退などけっこう融通が利きました。

ただ、障害者の就労支援施設なので、基本的には一般就労の職場よりきつくありません。2つ目の施設では休みがちな利用者に対しても、かなり寛容的でした。

解雇されるケースも0ではありませんが「他の利用者に危害を加えた」など、よっぽどの理由がない限り、施設も簡単にクビにはできません。

A型事業所でクビになるケース

・他の利用者やスタッフに危害を加えた

・わざと悪質な行為をして施設に多大な損害を与えた

・運営会社が倒産した

Q. 人間関係は?楽しい?

A型事業所の人間関係は様々です。

筆者は比較的楽しく過ごせましたが、7年通う間に人間関係のトラブルもいくつか見てきました。世の中の一般的な職場と同じです。

通った施設は恋愛禁止ではなかったので、利用者同士が付き合うケースもありました。施設によっては連絡先交換禁止にしているところもあります。

雰囲気や人間関係は、本当に施設ごとに違うので、複数の作業所を見学して比較しましょう。

Q. 在宅勤務もできる?

就労継続支援A型事業所には、在宅ワークが可能な施設もあります。

仕事内容はWebデザイン、Webライティング、動画編集などIT系のほか、データ入力などの軽作業やデザイン制作など施設によりけりです。

在宅就労(テレワーク)で就職した際の練習にもなります。

Q. 何年働ける?

就労継続支援A型には、利用期間の定めがありません。

「一生働ける」とまでは言いませんが、年齢制限である65歳または定年(だいたい70歳)まで、何年でも働けます(※1)。

※1:要件を満たした場合は65歳以上定年まで利用可。詳しくは「A型事業所の65歳以上の利用要件!定年は?新規は?厚生労働省いわく‥」

Q. アルバイトの併用はできる?

「就労継続支援A型」と「一般就労(アルバイト含む)」との併用(副業)や掛け持ちは原則できません。

ダブルワークは原則禁止です。

理由は、就労支援サービスは(パートなど非正規雇用含む)一般就労が困難な人向けのサービスだからです。

ただし、例外的に施設や市区町村の許可があれば、可能となるケースもあります。

Q. 社会保険は?厚生年金の加入は?

  • 厚生年金とは?

    一定規模以上の会社などに勤務している人が加入する保険、将来もらえる年金が増額する

  • 労災保険とは?

    業務上の事由で負傷・死亡した場合の保険(保険料全額事業所負担)

  • 雇用保険とは?

    失業したときに失業手当をもらうための保険(月数百円程度の保険料が給料から天引き)

就労継続支援A型の利用者が加入する社会保険は、基本的に「労働保険(労災保険+雇用保険)」のみです。

多くのA型事業所では、厚生年金保険(+健康保険/介護保険)に加入することはありませんが、長時間労働や賃金が高いケースなどでは、加入することもあります。

「どの保険に加入することになるか?」は募集要項に書いてあるので確認しましょう。

社会保険の加入手続きは、主に事業主が行います。

健康保険も家族等の扶養に入っていなければ、扶養のない国民健康保険になります。障害者または60歳以上の人の場合、収入が月額平均15万円未満なら、家族等の扶養から外れることもありません(※1)。

※1:細かい条件は加入している健康保険組合により異なります。

Q. 障害年金は支給停止になる?

就労継続支援A型事業所に通い始めたからといって、障害年金が支給停止になることはありません。働きながら障害年金をもらうことは可能です。

精神障害、発達障害、知的障害については、日本年金機構の等級ガイドラインに以下の記述があります。

就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)及び障害者雇用制度による就労については、1級または2級の可能性を検討する

引用元:日本年金機構「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」

障害年金をもらいながら、A型事業所に通っている障害者は、たくさんいるので安心してください。

Q. 失業保険の手当はもらえる?

A型事業所に通うと、一部の例外を除き失業保険(雇用保険)の手当はもらえなくなります。

1週間の所定労働時間(実労働時間ではない)が20時間以上となり、失業状態ではなくなるためです。

その代わり、支給日数の3分の1以上残して、A型事業所に就職する場合、再就職手当がもらえる可能性があります。

「失業手当のみ」より「A型事業所の給料+再就職手当」のほうが収入増えることも多いので、ぜひチェックしてみてください。

詳しくは以下をご覧ください。

逆に雇用保険料を支払うことになるため、A型事業所を退所した後は失業保険の受給対象となります。

Q. 生活保護を受けながら通える?

生活保護を受けながら、就労継続支援A型事業所に通える可能性は十分あります。「働く=打ち切り/もらえない」ではありません。

A型事業所に通った場合、「収入-(勤労控除+交通費)」分が生活保護費から差し引かれて支給されます(※1)。つまり、勤労控除額分(約2万円:p4)だけ収入の総額が増えます。

厚生労働大臣が定める「最低生活費(単身者で約10万~13万円/月)」以上の収入がある場合、生活保護は打ち切りとなりますが、だいたいのA型事業所の平均給与はそれ以下なので「最低生活費+勤労控除+交通費-収入」の生活保護費がもらえることになります。

令和5年の厚生労働省のQ&Aにも「働いている人でも収入や資産が最低生活費に満たない場合は差額を受給できる」とあるので、A型事業所の利用中に生活保護を新たに申請して受給できる可能性もあります。

Q.9 働いているのですが、生活保護を受給することはできますか。
A.9 働いていて、就労収入がある方でも、その収入及び資産が厚生労働大臣が定める基準(最低生活費)に満たない場合には、生活保護を受給することができます。この場合、収入と最低生活費を比較して、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。

引用元:厚生労働省「R5.5生活保護制度に関するQ&A」

Q. 就労継続支援B型との違いは?

就労継続支援A型も就労継続支援B型も「就労機会の提供および就労に必要な知識・能力の向上」という目的は同じです。

しかし、A型事業所は「比較的軽度」の障害者が多く、B型事業所は「比較的重度」の障害者が多いなどの違いがあります。

そのほか以下の点が異なります。

A型事業所とB型事業所の違い
就労継続支援A型就労継続支援B型
雇用契約ありなし
対象者一般就労は難しいが安定して週5日ほど働ける障害者一般就労やA型事業所で働くのが難しい障害者
賃金月額7万~10万円の給料月額1万~2万円の工賃
作業難度簡単な作業が多いA型よりさらにハードル低い
勤務日数週3~5日週1~5日
労働時間1日4~6時間ほど1日1~6時間ほど
一般就労移行率25.1%13.2%
事業所数3,946施設14,060施設
利用者数77,307人290,559人

※一般就労移行率は令和元年 参考:厚生労働省「障害者の就労支援について」

※利用者数や施設数は令和3年4月 参考:厚生労働省「障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス」

就労継続支援A型では、雇用契約を結ぶので給料がもらえます。就労継続支援B型では、雇用契約を結ばないので、最低賃金の保障がない「月額1万~2万円ほどの工賃」しかもらえないという違いがあります。

全国の施設数や利用者数は圧倒的にB型事業所(B型作業所)のほうが多いです。

通所に対してはA型事業所の方が厳しいですが、給料がもらえるので通えるならA型のほうがおすすめです。

A型事業所が厳しい人は、B型事業所の利用を検討しましょう。

ガイドさん

どちらも興味あるなら、近くにあるA型事業所、B型事業所を両方見学してみよう!

A型事業所の非雇用型とは?

就労継続支援には雇用型(雇用契約あり)の就労継続支援A型と、非雇用型(雇用契約なし)の就労継続支援B型があります。しかし、就労継続支援A型にも雇用契約を結ばない非雇用型という利用形態が実は存在します。A型事業所の非雇用型は「雇用契約を結べるほどではないけど自信をつけたい・体調を整えたい人」などが、将来的に雇用契約ありで働くための暫定的な利用方法です。

最後に‥

A型事業所がどんなところか、イメージをつかめたでしょうか?

利用者募集しているところはたくさんあるので、施設探しをしてみましょう。

何度も言いますが「雰囲気」「給料」「仕事の内容や難しさ」は施設によって大きく異なります。

ぜひお近くのA型事業所を2~3施設見学してみてください!

-就労継続支援A型