↓ナビゲーションブックは「私の障害について」「私の取扱説明書(トリセツ)」「自己紹介シート」と呼ばれることもあります。
ナビゲーションブック(私の障害について/私の取扱説明書)とは「障害特性や必要な配慮事項を職場などへ伝えるための紙」です。
「障害の特性や必要な配慮を丁寧に伝えられる」「面接で説明する手間を省ける」などのメリットがあり、就職後の働きやすさにもつながります。
各テンプレートを使って、当記事の解説を見ながら作成しよう!
当記事では「障害者雇用を目指す人」や「就労移行支援・就労継続支援を利用中・利用した人」向けに応募書類の書き方を解説します!
精神障害者、発達障害者、知的障害者、身体障害者、難病患者等、いずれの方も参考にしてください。
「履歴書」「私の障害について(ナビゲーションブック)」「送り状」の3つの作り方/書き方を紹介するよ。
障害特性や必要な配慮事項は、履歴書にまとめてもいいですが、書く欄がせまいので別紙ナビゲーションブックとして作ることをおすすめします。
ちなみに、就労移行支援事業所や就労継続支援A型事業所(A型作業所)、就労継続支援B型事業所(B型作業所)の利用は「訓練歴」として履歴書の職歴欄に記載可能です。
「採用されやすい書き方のコツや例文」「職歴・配慮事項の書き方」「志望動機のNG例」「印刷&送付の手順」なども紹介します。
1.「履歴書」の書き方
↓
2.「ナビゲーションブック/私の障害について」の作り方
↓
3.「印刷&送付(送り状の書き方)」
の順で解説します。
一人で書くのが難しい場合は、施設スタッフに手伝ってもらいましょう。
履歴書の書き方
↓「基本情報」「学歴・職歴・訓練歴」の見本
↓「免許・資格」「志望動機・自己PR」「障害状況」「本人希望」「通勤時間・扶養」の見本
大事なポイントは「採用担当者が何を求めているか?」考えて書くことです。
1つ1つの項目を丁寧に、見本/例文付きで解説します。
手書きでもいいけど、修正や増刷がしやすいから、PCで作るのもおすすめだよ。
手書きの場合は黒のボールペンを使おう。
↓障害者雇用の履歴書テンプレートは、以下サイトからダウンロード可能です。
(マイクロソフトアカウントを持っている人はMicrosoft365でも無料編集可)
※当サイトでは、見やすさのため見本を「ゴシック体」で作りましたが、履歴書を作成する際は「明朝体」が一般的です(見出し等はゴシック体のままでOK)。
おすすめフォント
Windowsなら「游明朝」、Macなら「ヒラギノ明朝」がおすすめです。
と解決策10個
書き始める前の注意点5つ
見本やNG例を見る前に「書き方の注意点」を押さえておきましょう。
- 1.応募先ごとに内容を変える
履歴書は全く同じ内容を使いまわさないようにしましょう。特に志望動機や自己PRは、応募先の業務内容・企業情報に合わせて内容を変えると採用されやすくなります。
- 2.「見やすい」履歴書にする
文字数は少なすぎてもいけませんが、用紙いっぱいに書いて見にくくならないよう注意しましょう。採用担当者は履歴書をじっくり見てくれるとは限りません。文字も丁寧に書きましょう。
- 3.表記方法は統一
年号は西暦(例:2023年)または和暦(例:令和5年)、文末は「です・ます」で統一しましょう。PC入力の場合は、英数字は半角で統一しましょう。
- 4.省略しない
株式会社を(株)、平成をHなどの略称で書くのはやめましょう(株)→株式会社、H→平成。「〃」で省略するのもNGです。
- 5.修正液/修正テープは使わない
履歴書は書き間違えたら、新しい用紙に書き直すのがマナーです。手書きの場合、書き始める前に鉛筆で薄く下書きするのがおすすめです。履歴書は証書類なので「消せるボールペン」もNGです。
履歴書の用紙サイズにはB5版(B4二つ折り)とA4版(A3二つ折り)がありますが、広く書きやすいA4版がおすすめです。
B5よりA4(B4よりA3)のほうが大きいよ。
手書きの場合は修正しやすいよう、えんぴつやシャーペンで薄く下書きしておくことをおすすめします。
基本情報の書き方
1つずつ丁寧に解説します。
読み仮名は「ふりがな」なら「ひらがな」、「フリガナ」なら「カタカナ」で書きましょう。
1.日付
持参なら履歴書を渡す日、郵送ならポストへの投函日を書きます。
作成日ではありません。
作成時点で日付がいつになるかわからない場合は空欄にしておき、後で記入します。
付箋でメモを残すなどして、書き忘れしないよう工夫しておきましょう。
2.氏名
氏名は少し大きめに書きます。
戸籍と同じ表記で記入してください(普段、省略した漢字を使っている人は注意。例:斉藤→斎藤)。
苗字と名前の間は少し空けます。
3.生年月日/年齢
西暦(例:1994年)or和暦(例:平成6年)の表記は「日付」とそろえてください。
年齢は「日付」時点での満年齢です。
「満年齢=普段使っている年齢」なので、深く考える必要はありません。
4.住所
都道府県名から、マンション・アパート名まで書きます(部屋番号も)。
「2-1-30」ではなく「2丁目1番地30号」と省略せずに書きます。
6.電話番号
電話番号は略さずに市外局番から書きましょう(XXXX-〇〇-△△△△ならXXXXから)。
固定電話と携帯電話(スマホ等)、どちらもあるなら両方書いておきましょう。
いずれか一方しかないなら、一方の電話番号だけで構わないよ。
ハイフン「-」は省略しないでください。履歴書にはじめから()が書かれていれば、ハイフンは不要です。()の位置に合わせて番号を区切って書きます(※1)。
7.FAX番号
FAXがない場合、FAX番号は空欄のままで構いません。
8.メールアドレス
メールアドレスがあれば書きましょう。
近年は@yahoo.co.jpや@google.comなどのフリーアドレスでも問題ないとされています。
ただ、携帯・スマホのキャリアアドレス(@docomo.ne.jp、@ezweb.ne.jp、@softbank.ne.jpなど)は、添付ファイルが見られないことがあるので避けましょう。
「0とo」「1とi」「1とl」「9とq」「-と_」「uとv」などの違いが分かるように書きます。わかりにくい場合は「ゼロ」など、その部分にだけ読み仮名を振りましょう。
「kenji-love@~」など、就活にふさわしくない文字列を含むメールアドレスは避けよう。
自分の名前が入っているのは問題ないよ。
9.緊急連絡先
本人に連絡がつかない場合の連絡先です。緊急連絡先の欄があれば、家族などの身近な人の連絡先を書いておきましょう。
実家で暮らしている場合は「同上」と書いて構いません。
友人やパートナーなど身内以外でも大丈夫ですが、緊急連絡先として書かせてもらうことの許可は得ておきましょう。
10.写真
写真館で撮る方が高品質ですが、3,000~7,000円ほどします。
駅や店に設置してあるスピード写真機でも問題ありません。スマホでの自撮りは質が悪いのでおすすめしません。
写真を撮る前に鏡で身だしなみを整えましょう。肌補正オプションをつけるとさらに印象が良くなります。
- 服装【男性】
黒、濃紺、グレーのスーツ+白のワイシャツ+ネクタイ(ネクタイは派手じゃなければOK、白または黒の無地ネクタイは慶弔用なのでNG)
- 服装【女性】
黒、濃紺、グレーのスーツ+白や淡い色のワイシャツまたはカットソー
帽子、サングラス、アクセサリーは外しましょう。普段使いのメガネはOKです。
- 髪型
前髪は目にかからないように。清潔感のある落ち着いた髪型が望ましい。派手な髪色(レベル8以上)は基本的にはNG。
- 表情
歯が見えない程度に口角を軽く上げる。
- 化粧
自然に薄く。濃すぎないよう注意。
顎を軽く引き、正面から撮りましょう。顔が傾かないよう注意してください。
写真は私服じゃダメ?
バイトやパート、就労継続支援A型事業所などへ応募する場合は私服でも問題ありません。
一部のクリエイティブ系、アパレル系など、スーツを着用しない職場では、スーツ以外でも可とするところがありますが、スーツが一番無難ではあります。
私服の場合も、ポップすぎたり派手すぎたりしないよう気を付けましょう。
パソコンで履歴書を作成する人は「印刷した後」のりを使って、はがれないよう写真を貼りましょう。
学歴・職歴・訓練歴の書き方
「学歴」「職歴」「訓練歴」は見出しを付けて書きましょう。
スペースに余裕があれば「職歴」や「訓練歴」の上に空行を入れると、さらに見やすくなります。
最後は「以上」で締めます。
それぞれの書き方のコツを紹介するね。
- 短い職歴を書きたくない場合
- ブランクが長い場合
- 職歴が乏しい場合
- 職歴が多くて書ききれない場合
の書き方も紹介します。
1.学歴
高校や専門学校から書くのが一般的です。「高校→高等学校」とし、「〇〇市立」なども略さず書きましょう。
学校名も略してはいけません(例:東大→東京大学)。
大学は「学部・学科」まで書き、留学経験もあるなら書きましょう。浪人期間は特に書かなくても問題ありません。
2.職歴
入社・退職はもちろん、部署名や業務内容も簡潔に書きます。
正社員以外は「アルバイト」「パート」「契約社員」「派遣社員」など、雇用形態がわかるように記載します。
障害者雇用の場合も「障害者雇用」と明記しよう。
派遣社員で登録した場合は、登録社名と派遣先、業務内容、期間を簡潔に書きます。
職歴はどこまで書くべき?短い職歴は?
パートやアルバイトは省略しても大丈夫ですが、他の職歴が乏しい場合、アピールになるので書きましょう。
派遣社員や契約社員は、1か月程度までの単発・短期であれば省略してもOKです。
正社員は1か月未満であっても、基本的にはすべて書くべきとされています。
「募集要項と実際の仕事内容が違った」など、正当な短期退職の理由があれば書いておこう。
職歴を書かかなかった場合でも、入社後に社会保険の加入履歴からバレる可能性はあるよ。
退職理由の書き方
退職理由は「一身上の都合」とするのが一般的です。
ただし、「病気療養のため退職」など書けるものは書くと、面接で聞かれることもなくなり、採用担当者も納得しやすくなります。
契約期間があった仕事は「契約社員→契約期間満了のため退職」「派遣社員→契約期間満了」などと書きましょう。
空白期間/ブランクが長い場合
長い空白期間が気になる人は「ブランクの間に何をしていたのか?」補足情報をくわえても構いません。
前向きな文章を心掛けましょう。
引きこもりやニートの時期があっても、書き方を工夫して悪い印象を軽減できるよ。
ウソの職歴や、働いた期間を長めに書いたりすると経歴詐称になるので注意してね。
書き方の例
・畑仕事・家事の手伝い
・資格の勉強
・障害について調べ自分の症状と向き合った
・自分をいたわり病気の治療に専念
・ゆっくり休み自身の体調と向き合った
障害者雇用などで、障害をオープンにする場合、空白期間は比較的寛容に見られます。
採用担当者はブランクの長さより「今は大丈夫なのか?」を重視します。
「現在は回復して働き続けられる」ことを、履歴書やナビゲーションブック(私の障害について)でアピールしましょう。
職歴なし・職歴が乏しい場合
就労経験がない人や乏しい人は、以下のように書いてもOKです。
空欄が多い場合の書き方
・短期や単発のパート/アルバイトも書く
・学生時代のインターン、クラブ活動、生徒会活動、ボランティア活動等の経験を書く
・職歴が少しでもあれば、業務内容、実績、経験で得たものなど少し詳しく書く
↓例1:大学でのクラブ活動の実績など。
↓例2:学んだことなど前向きに書く。
空欄を無理に埋める必要はありませんが、アピールできることを簡単に書いても構いません。
長くても数行でおさめ、担当者が見づらくならないよう注意しましょう。
後で紹介するけど、就労移行支援事業所や、就労継続支援A型・B型事業所で学んだことを書いてもいいよ。
履歴書の欄に書ききれない場合
転職や短期就労の経験が多く、職歴欄に書ききれないときは以下の対処をしましょう。
書ききれない時の対処法
1.一行にまとめられるものはまとめる
2.高校入学の行を省く
3.配属先、派遣先などの説明を省く
4.直近の数社以外は注釈でまとめる
5.文字サイズを小さくする
6.職務経歴書で補う
7.職歴欄/職業欄の広い履歴書に変える
↓例1:高校入学、配属先、派遣先を省き、大学入学/卒業・入社/退職も一行にして、文字サイズを小さくした。
文字サイズは小さくなりすぎないよいう注意!
↓例2:直近の数社以外を注釈でまとめた。
職務経歴書で補う場合は「※高校卒業後、2018年までに3社経験、詳細は職務経歴書に記載。」など、書いておくとよいでしょう。
採用担当者が見づらくならないよう、それぞれ簡潔にまとめましょう。
3.訓練歴(就労移行支援・就労継続支援)
訓練歴は必須ではありませんが、障害者雇用の場合はアピール材料になるので書いておきましょう。
↓「どんな訓練を受けて何を学んだか?」を簡単にまとめてもOKです。
現在利用している場合は「現在に至る」と書いておきます。
最終行には右下に「以上」と書くのが一般的だよ。
免許・資格の書き方
国家資格だけでなく、民間資格も記載してかまいません。
免許・資格の書き方
・古い順でなくアピール順(業務と関係あったり難易度高い資格から書く)でもOK
・たくさんあるときは業務に関係あるものを優先的に書く
・勉強中の資格も含めてよい(※1)
(例:ITパスポート取得に向けて勉強中)
↓知名度が高くないものは、採用担当者が知らない可能性があります。簡単な説明を書いておきましょう。
上の例では、余白があれば「S 、A、B、C、Dの5段階あり、ビジネス実務で求められるのはC以上と言われています」など説明をさらに付け加えて構いません。
志望動機・自己PRの書き方
志望動機が履歴書欄にない場合は、無理に志望理由を書く必要ありません。
志望動機の書き方
・企業研究をしっかり行い「応募先の会社の魅力」を理由として書く
「何も思い浮かばない」「ぶっちゃけ家から近いから」など思う人もいるでしょうが、応募先企業のHPなど見ながらネタを探してみましょう。
漠然とした気持ちではなく、具体的な表現を心掛けよう。
自己PRの書き方
・応募する業務に関することで「自分にどんなスキルがあるか?」を書く
・就労移行支援や就労継続支援A型・B型で学んだことを書く
上記以外でも、過去にがんばったことを具体的に書いても構いません。
「~に励んでいきたい/貢献していきたいと考えております」のように最後は仕事に対する意気込みで締めるといいよ。
一文を長くしすぎないよう気を付けましょう。
相手企業を指すときは、書き言葉で使う「貴社」を用います。
「御社」は話し言葉で用いられます(面接はこちらを使う)。
志望動機・自己PRのNG例
採用担当者に悪い印象を与えかねないNG例を理由とともに紹介します。
↓NG例
- 1.給料が良かった/家から近かったので
理由をすべて正直に言うのは避けましょう。会社側としてはあなたを雇う理由にはならないからです。うそでなくても採用担当者から悪い印象を持たれる可能性があります。
- 2.地元で働きたかったので
「1」と同じです。応募者にとって都合が良くても、会社側が雇う理由にはなりません。仕事そのものへ意欲など書くようにしましょう。
- 3.勉強したいので
職場は学校ではありません。勉強熱心なのは良いことですが、「自分のため」アピールになってしまうのであまりよくありません。未熟さアピールも避けましょう。
- 4.会社を成長させたいです
会社に貢献できることをアピールするのは良いですが、言い方に気を付けましょう。上から目線ととられかねない書き方は控え、謙虚さも意識しましょう。
- 5.スキルが身についたら独立します
たとえそのつもりでも、会社に伝えるのは控えましょう。退職されるのは会社にとってデメリットだからです。基本的に会社側は「長く働き続けてほしい」と思っています。
「自分にどんなメリットがあるか?」ではなく「会社にとって自分がどんな役に立てるか?」を意識しましょう。
ただし「4」のように上から目線になるのはNGです。
「志望動機」って自分にメリットあるから志望するんじゃないの?
まあ、正直そうなんだけどね‥。
でも、合否に影響してしまうから、相手に良い印象もたれそうなことを書くのが無難だよ。
文章が思い浮かばないときは?
文章を書くのが苦手な人は「1.自分に疑問を投げかける」「2.箇条書きで答えをメモする」「3.文章をつなげて調整する」をやってみましょう。
自分に疑問を投げかける【例】
Q1. この会社の魅力は何か? (給料等の条件以外で)
Q2. 自分のどんな経験やスキルが業務に生かせそうか?
Q3. 就労支援施設で何を学びどう成長できたか?
Q4. これまでにがんばれたことは?
Q5. 入社後の意気込みは?
一つ一つの疑問に対して、箇条書きでいいのでメモします。
その後、箇条書きした文の順番を調整し、つなげて自然な文章にしましょう。
趣味・特技の書き方
趣味・特技を書く欄があれば、日ごろの趣味や得意なことを書きましょう。
「〇〇が趣味です」だけでなく、説明を工夫することでポジティブな人柄も伝えられます。
趣味・特技の例文
趣味は料理です。家族や友人に「おいしい」と言ってもらえるのがやりがいです。「もっとおいしくなるにはどうすればいいか?」を日々研究しています。
「サービス精神がある」「研究熱心」などの人柄が伝わるね。
ただし、趣味・特技なら、なんでもいいわけではありません。
「ゲーム」「人間観察」など、人によって良い印象を抱かない可能性があるものは、書かないほうが無難です。
障害の状況の書き方
「自分はどんな障害や症状があって、今はどの程度活動できるのか?」を会社側に伝えるために書きます。
別途「ナビゲーションブック(私の障害について)」を提出する場合は、履歴書に詳しく書く必要はありません。
「精神障害か?発達障害か?」などの障害名・病名はここにも書いておきましょう。
障害の状況に書くこと
・自身の障害名/病名(※1)
・主な症状
・通院の頻度
・就労支援施設の直近の通所状況(※2)
ポイントは「今の自分は働ける体調にある」と採用側に示すことです。
就労移行支援事業所やA型事業所・B型事業所を利用中の人は、直近の通所状況も書くとアピールになります。
「わたしの障害について(ナビゲーションブック/取扱説明書)」も提出する人は、「※詳しくは「わたしの障害について」をご覧ください」などと書いておこう。
「等級」や「手帳取得年」は、自身の障害者手帳を見ながら書きましょう。
「手帳取得年」は手帳の「交付日」にあたります。
本人希望欄の書き方
必要な配慮事項は「ナビゲーションブック(私の障害について)」に書くので、ここに書かなくても大丈夫です。
本人希望欄には「『わたしの障害について』に詳細が書いてあること」を記載しておき、最後に「その他につきましては、貴社規定に従います」と書いておきましょう。
空欄や「特にありません」と記載するのは、あまり印象が良くありません。
余計な希望は書かないように
応募先から指示がない限り、給料など待遇面の希望は、基本的に書かないようにしましょう。
「この条件がなければ働かない人」「注文が多い人」と思われて、選考で不利になっちゃうよ。
希望を書いていいケース
本人希望欄に希望を書いてよいケースもあります。
↓希望を書いてよいケース例
- 1.応募先企業が複数の職種を応募している
希望職種を伝えるため「事務職を希望いたします」のように書いても構いません。職種名は募集要項に書いてあるものを正確に書きましょう。
- 2.どうしても外せない希望がある
「子供の幼稚園の迎えのため、毎週水曜日は17時半までに退勤させていただければ幸いです。」などと謙虚に書きましょう。
障害に関する希望については「わたしの障害について(ナビゲーションブック)」にまとめておくとよいですが、勤務地など労働条件にからむものは、本人希望欄に書いておいてもよいでしょう。
例えば、在宅勤務も募集している場合は「障害のため在宅での勤務を許可していただけると幸いです」などのように書きます。
通勤時間・扶養の書き方
通勤時間は、家から会社までの片道の時間を書きます。
「扶養」情報は、会社が社会保険の手続きをする際に必要な情報です。
合否に影響することはありません。
扶養家族とは?
生活費や仕送りなど、経済的に自身が養っている家族のことを言います。
税法上の「扶養」と健康保険上の「扶養」では基準が異なりますが、履歴書には健康保険上の扶養を書くのが一般的です。
配偶者とは妻・夫のことです。
妻か夫が、次で紹介する「扶養家族の条件」に当てはまれば「配偶者の扶養義務」の「有」に〇をつけます。
扶養家族の条件
対象者(扶養される人=被扶養者)が、以下のすべてに当てはまる場合、扶養家族としてカウントします。
- 1.ほかの健康組合に加入していない
対象者が就職などして、他の健康保険組合に加入している場合は扶養家族になりません。
- 2.収入が基準より少ない
60歳未満は年収130万円未満、60歳以上75歳未満または障害者は年収180万円未満。年齢が75歳以上は扶養家族になれません。
- 3.同居なら3親等内
対象者が同居しているなら、あなたまたは配偶者の父母、子、兄弟、祖父母、孫、甥姪、曾祖父母、伯父叔母、ひ孫(またはその配偶者)である必要があります。(※1)
- 4.あなたの収入により生活している
対象者がほかの人の扶養に入っている場合は、あなたの扶養家族としてカウントしてはいけません。
年収は、税法上の1~12月と違い、健康保険上では「申請時からその後1年間の見込み収入」で判断されます。
よくわからない人は家族に聞いてみましょう。
ナビゲーションブック(私の障害について)の作り方
「私の障害について(ナビゲーションブック)」は就活で絶対必要というわけではありません。
しかし、障害者が就職するうえでメリットが大きいので作成をおすすめします。
「私の障害について」とは?
障害者が「どんな障害や特性があり、どんな配慮があったらうれしいか」を応募先企業へ伝えるために作るものです。
「私の取扱説明書」「ナビゲーションブック」などと呼ばれることもあります。
「診断名」「病気の概要」「障害特性」「必要な配慮事項」などをA4一枚程度にまとめて履歴書と一緒に提出します。
精神障害者や発達障害者に限らず、障害者雇用を目指す人は、ぜひ作成しましょう。
もちろん、障害を開示しない場合(クローズ就労)は書く必要ありません。
障害について書く欄のある履歴書もあるけど、スペースが狭くて十分な情報を書けないよね。
別紙として「ナビゲーションブック(私の障害について)」を書いておくと、しっかり「どんな配慮が必要か?」「なぜ必要なのか?」を伝えられるよ。
▼オリジナルテンプレートを用意しました!
↓そのまま印刷する人は「.pdf」、Wordで編集する人は「.docx」をダウンロードしてください。
ナビゲーションブック(私の障害について)のメリット
「ナビゲーションブック/私の障害について」には、以下のメリットがあります。
メリット
・応募先から「自己理解があり説明ができる人」という印象を持たれやすい
・面接で説明する手間を省ける
・必要な配慮を的確に伝えられ、就職後も働きやすくなる
・上司や同僚への障害説明書としても使える(※1)
デメリットは「書く手間が必要」ということだけです。
就職する確率を少しでも上げたい人はぜひ書きましょう。
基本情報の書き方
「障害名・病名(※1)」「障害者手帳の情報」「通院状況」「障害・病気の概要」を簡潔に書きます。
「障害・病気の概要」は「『障害や病気の知識が全くない人』に伝えるつもり」で説明してみてください。
障害者雇用の担当者でも、障害や病気について詳しいとは限らないよ。
どう書けばいいかわからなかったら、ネットで「うつ病とは?」「統合失調症とは?」などで調べてみるといいよ。
二次障害のことも職場の人に知っておいてほしいなら、二次障害についても書きましょう。
必要な配慮事項の書き方
必要な配慮事項については、以下4つを記入します。
単なるわがままだと思われないよう、謙虚な書き方を心掛けましょう。
- 1.どんな配慮が必要か?
自分の症状や障害特性から「どんな場面で困りそうか?」を考えましょう。その際、まわりにしてもらえると助かる配慮を記入してください。「どんな場面でどんな配慮が必要か?」できるだけ具体的に書くのがコツです。
- 2.なぜその配慮が必要か?
配慮が必要な理由として、自身の症状や障害特性を知ってもらいましょう。自分の特性がどのように業務に支障きたしてしまうのか知ってもらえたら、配慮の必要性がより伝わります。
- 3.自分の対処・できること
「自分なりの工夫」を伝えておくと「本人なりにがんばっているんだな」と思ってもらえます。「できることの範囲」も書くと、まわりがどこまで配慮すればいいのかわかりますし、ポジティブな印象も与えらえます。
- 4.配慮や特性を誰に知ってほしいか?
当サイトのオリジナルテンプレートでは、配慮や特性ごとに「どの範囲の人に知ってほしいか?」〇をつけられるようにしてあります。例えば「上司に知っておいてほしいけど同僚には知られたくない」ことなら「採用担当者」と「上司」に〇をつけます。ちなみに〇はWordの図形でも挿入できますが、印刷した後にペンで書いてもOKです。
募集要項の業務内容をじっくり読み直し、実際に通勤や業務をしている姿をイメージしながら「自分が困りそうなこと・苦手なこと」をあげていきましょう。
「〇〇はできません・やりたくありません」ではなく「〇〇していただけると幸いです」「〇〇ならできます」など、ポジティブな表現で書きます。
要点を伝え、文章が長くなりすぎないようにしましょう。
びっしり書くと、読む気失せちゃうもんね。
上の見本は、記事に載せるために文字サイズ大きめにしてあるけど、自分が書く際は、もう少し文字サイズ小さくしてもいいよ。
配慮事項は「通勤」「業務」「コミュニケーション」「通院」でのそれぞれの場面を想定して書いていきましょう。
↓例:「3」は作業スピードに自信ない人、「4」は通院に関して必要な配慮
配慮事項は、多くても数個に抑えておきましょう。
会社側も、何でもかんでも配慮できるわけではありません。
自分の障害特性を全部書く必要はないよ。
「勤務するうえで支障になりそうなこと」のみにとどめ、その他不要な情報や知られたくないことは、書かないようにしよう。
その他の書き方
上に書ききれなかった情報や、自分の特性ゆえの長所、その他知ってほしい情報などを「※その他」に書きます。
「障害の状況」欄がない一般的な履歴書テンプレートを使用した人は「就労支援施設での直近の通所状況」などをこちらに書き「現在の体調なら問題なく働ける」ことをアピールしておきましょう。
印刷&送付の手順
「履歴書」や「ナビゲーションブック/私の障害について」を作成したら、必ず見直しましょう。
はじめに紹介した注意点5つに加え「誤字脱字」「表現はポジティブか?」「必要なことは伝えられているか?」など、よくチェックしましょう。
「送る書類一覧」から「印刷」「封入」「送り方」など全部解説するね。
何を送ればいい?必要なものは?
応募に必要な書類を確認しておきましょう。
以下の書類を封筒に入れて送ります。
応募書類の一覧【障害者】
1.履歴書
2.わたしの障害について
3.送り状/添え状
3.障害者手帳のコピー
上記のほかに「職務経歴書(※1)」や「ポートフォリオ(※2)」が必要な人は、それらも同封しましょう。
応募書類一式は、クリアファイルに入れてから封筒に入れるのが一般的です。
手渡しでもクリアファイルや封筒に入れておこう。
封筒への記載も必要だよ。「書類の入れ方」「手渡しの仕方」も後で解説するね。
送り状/添え状とは?
送付状(添え状/カバーレター)とは「誰が」「何を」「どのくらい」送ったか概要を伝えるために同封する紙のことです。
履歴書送付ではもちろん、ビジネスで書類を送る時のマナーとされています。
受け取り手へのあいさつも兼ねているよ。
履歴書を直接手渡しするときは必要ないよ。
送り状はWord等で作成したものが一般的ですが、手書きでも構いません。
左上に会社名、右上には日付(履歴書と一緒でOK)、自分の住所、連絡先、名前を書きます。
↓テンプレートを用意したので、よかったら必要部分を書き換えて使ってください。
印刷で気を付けること
パソコンで作成した履歴書を印刷する際は、安っぽいコピー用紙ではなく厚手(0.1~0.2㎜)の上質紙(コーティングのある光沢紙はNG)を使用しましょう。
「わたしの障害について」や「送り状/添え状」は、コピー用紙(普通紙)でもいいよ。
上質紙で印刷できるなら、上質紙のほうがいいけど、選考には直接関係ないよ。
履歴書はA3を一枚(見開き)でも、A4を二枚でもOKです。
顔写真は印刷した後に貼り付けましょう!
家庭用プリンタがない人は、USBメモリを持って行ったり、ネットプリントサービスを利用したりしてコンビニで印刷しても構いません。
Wordで作成したものは、「名前を付けて保存」で、pdfファイルとして保存しなおしてから印刷しよう。
pdfファイルにすると、フォントも変化せずそのままの見た目で印刷できます。
カラーは白黒で、縮小コピーせずに印刷します。
印刷後はインク汚れやかすれがないかもチェックしましょう。
どんな封筒にすればいい?
以下3つの条件に当てはまる封筒がおすすめです。
手渡しする際も「自分の住所/名前・応募書類在中」を記載した封筒に、応募書類を入れて持っていきましょう。
応募書類を入れる封筒
・サイズは「角形2号」がおすすめ
・色は白が望ましい
(茶封筒でもダメではないが白のほうが印象が良い)
・厚みがあり中身が透けない封筒
履歴書は、一般的に二つ折りにしてA4サイズがそのまま入る封筒に入れます。
三つ折りは折り目の文字が見にくくなるなどの理由から、あまりよくないとされているよ。
封筒も履歴書同様、100均、書店、Amazon、楽天などで売っています。
あらかじめ「履歴書在中/応募書類在中」と記載のある履歴書専用の封筒もあります。
宛名や住所の書き方は?
以下のポイントを押さえましょう。
ペンは黒色の油性サインペンか、油性ボールペンを使用します。
宛名や住所の書き方
・表面右に宛先の住所・郵便番号を書く
・表面中央に少し大きめの文字で宛名を書く
・企業や部署宛なら「御中」とする
・表面左下に、赤枠で囲み赤の油性ペンで「応募書類在中(または履歴書在中)」と書く(※1)
・裏面左下に自分の住所と名前を書く
住所は都道府県から書きましょう。
手渡しする際は宛名や住所は不要ですが、応募書類在中の記載と裏面の自分の住所と名前は必要です。
えんぴつやシャーペンで薄く下書きしておくといいよ。
ペンで書いてインク乾いた後に、消すのを忘れないようにね。
宛名の最後は、企業や部署宛なら「御中」、採用担当者の名前がわかっていれば「様」を付けます。
- 例1:株式会社〇〇 人事部御中
- 例2:株式会社〇〇 人事部 〇〇様
部署がわからない場合は「株式会社〇〇御中」として構いません。
「御中」と「様」は併用しないようにしましょう。
「株式会社〇〇」と「〇〇株式会社」は区別があるから、間違えないようにね!
(株)もNGだよ。
書類の入れ方&封の仕方
以下のポイントを押さえましょう。
入れ方・封の仕方のコツ
・表向きに上から送付状→履歴書→その他の書類(わたしの障害について等)の順に重ねて入れる
・応募書類は無色透明の新品のクリアファイルに挟んでから封筒に入れる
・二つ折りする場合は記載のある表面が閉じても見えるように折る
・裏面の閉じ口に黒いペンで〆マークを書く
・のりまたは両面テープで封をする(※1)
閉じる時、セロハンテープは使わないようにしましょう。
応募書類は郵送前にコピーしておくといいよ。
不備があって応募先から連絡があった場合に確認できるし、面接前にも送った内容を確認できるからね。
送り方
送る際はポスト投函より、郵便局へ直接行くことをおすすめします。
切手の貼り忘れや、料金不足で送れないケースを防ぐためだよ。
ちなみに上記の場合は差出人の元へ返送されるよ。
郵便局の窓口へ持っていく場合は切手不要です。
その場で重さをはかってもらえるので、料金を支払います。
ポスト投函する場合は、左上に切手を貼っておきましょう。
切手はキャラクターものなどではなく、普通の切手が無難です。
手渡しの仕方
面接官に直接手渡すときは、封筒から出して、クリアファイルを封筒の上に重ねて、クリアファイル・封筒ごと渡します。
相手が読みやすい向きで渡してください。
「応募書類をお持ちしました。よろしくお願いします。」と声を掛けると印象いいよ。
面接以外の場で手渡す場合は、封筒に入れたまま手渡してください。
最後に‥
「丁寧に解説しよう!」と意気込んで記事を書いたら、相当長い記事になってしまいました‥。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
当記事が少しでもお役に立てたなら幸いです。
みなさんが就職できることを祈ってます!