就労継続支援A型 就労継続支援B型

就労継続支援事業所とは?A型とB型の違い!対象者や給料など就労継続支援施設/作業所をわかりやすく比較!

ヤンネコ

就労継続支援って何?

簡単にわかりやすく解説して!

就労継続支援とは「一般企業等で働けない障害者」に働く場を提供する障害福祉支援のことだよ。

「就労継続支援A型」と「就労継続支援B型」の2種類があるんだ。

A型事業所では月8万円、B型事業所では月1万5千円ほどの収入も得られるよ。

ガイドさん

就労継続支援事業所(就労継続支援施設)は

「一般企業に就職できなかった障害者」「働いていたけど続かなかった障害者」などがサポートを受けながら働く場です。

就労支援を行う障害者施設ともいえます。

一般企業よりも働きやすく、「居場所」としての役割が大きいことも特徴です。

就労継続支援事業所には「就労継続支援A型事業所」「就労継続支援B型事業所」の2種類があります。

就労継続支援A型事業所、就労継続支援B型事業所は、それぞれ「A型事業所/A型作業所」「B型事業所/B型作業所」などと呼ばれることがあります。

就労継続支援A型とB型の主な違いには

  • 雇用契約のありなし
  • 給料(月8万円) or 工賃(月1.5万円)
  • 利用条件/対象者の違い
  • 年齢制限の違い
  • 作業内容の違い
  • 通所日数の違い
  • 利用方法の違い

給料や工賃は令和2年度の平均額です。金額は事業所によって異なり、都道府県ごとにも相場があります。

などがあります。

A型事業所とB型事業所の具体的な違いは以下の通りです。

就労継続支援A型とB型の違い
就労継続支援A型就労継続支援B型
目的と役割就労困難者への就労機会の提供や就労訓練就労困難者への就労機会の提供や就労訓練
事業所数全国に3,842事業所全国に13,117事業所
利用者数72,197人269,339人
雇用契約あり
(雇用形態はパート)
なし
対象者障害者や難病患者、グレーゾーンで、一般企業で働くことが難しい人
週3~5日の通所が可能で雇用契約を結んで働ける人
障害者や難病患者、グレーゾーンで、一般企業で働くことが難しい人
就労移行支援や就労継続支援A型に通所するのも難しい人
年齢制限原則18~64歳
(※1)
原則18歳以上
(※1)
対象障害精神障害、発達障害、知的障害、身体障害、難病等
比較的軽度の障害者が多い
精神障害、発達障害、知的障害、身体障害、難病等
比較的重度の障害者が多い
障害者手帳手帳なしでも可
(※2)
手帳なしでも可
(※2)
平均賃金月79,625円(給料)月15,776円(工賃)
利用日数週3~5日(※3)週1~5日(※3)
1日の利用時間3~6時間ほど1~6時間ほど
作業内容軽作業が多いが一部クリエイティブなものもある軽作業がほとんどだが、ごく一部の事業所ではeスポーツなどある
作業例検品、袋詰め、シール貼り、データ入力、接客、パン・クッキーづくり、農業、清掃、Webデザイン、プログラミング、イラスト作成など検品、袋詰め、シール貼り、データ入力、接客、パン・クッキーづくり、農業、清掃、eスポーツなど
作業の難易度一般企業よりは簡単だがB型より少し難しい一般企業やA型より簡単
有給休暇ありなし
利用期間制限なし制限なし
利用料金多くの人が無料
収入により自己負担上限額あり
多くの人が無料
収入により自己負担上限額あり
在宅利用一部の事業所では可能一部の事業所では可能
一般就労移行率25.1%13.2%
アルバイト副業やアルバイトは、禁止されることが多いが許可されることもある副業やアルバイトは、禁止されることが多いが許可されることもある
障害年金併用できる併用できる
失業保険受給しながら通えない
(要件を満たせば退所後もらえる)
受給しながら通える
精神科デイケア併用できる併用できる
生活保護勤労控除(約2万円)の分だけ総収入が増える併用できる
(工賃が約15,000円/月までなら、工賃の分だけ収入が増える)

※1:18歳未満や65歳以上でも条件を満たせば、A型作業所、B型作業所に通えます。条件は後述します。

※2:自立支援医療受給者証、医師の意見書、障害年金証書、特別支援学級/学校の利用実績などあれば。

※3:最低利用日数は事業所によって異なります。

※一般就労移行率(就職者割合)は就労支援サービス利用終了者のうち就職した人の割合です。

※事業所数や利用者数は令和元年データ:厚生労働省(国保連データ/就労継続支援施設)

※生活保護についての詳細は「Q. 生活保護受けながらA型事業所通える?」へ。

↓「就労継続支援事業所」のほかに「就労移行支援事業所」という就労支援施設もあります。

厚生労働省などの資料をもとに、上記を1つ1つわかりやすく解説していきます。

「就労継続支援制度とは?」「A型とB型の違いは?」「どんな人に向いている?」など、詳しく知りたい方、ぜひご覧ください。

都道府県別の給料平均、工賃平均も下に書いてあります。「就労継続支援と授産施設(授産所・授産事業)の違い」は最後で解説しています。

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就労継続支援とは?

就労継続支援とは「一般企業等で働けない障害者に就労機会を与える障害福祉サービス」のことをいいます。

就労継続支援が行われる障害者施設を「就労継続支援事業所」「就労継続支援施設」などと呼びます。

もっと簡単に、わかりやすく言えば・・

ヤンネコ

働いていたが、うつ病になったので退職した・・

Bさん

無職・ニートで、引きこもりだけど社会復帰したい・・

C君

就活で失敗した・・医者に行ってみたら障害の疑いがあると言われた・・

A君

特別支援学校や特別支援学級を卒業した・・

といった人たちが働く場所です。

「障害者総合支援法」を根拠法とした公的サービスで、主に税金で運営費がまかなわれています。

  • 障害者としてサポートを受けられる
  • 短時間から働ける
  • 軽作業など簡単な作業
  • 給料や工賃がもらえる

などの特徴があります。

就労継続支援A型とは?

就労継続支援A型とは、一般企業等で働けない障害者と雇用契約を結び、働く機会を提供する障害福祉サービスのことです。

ヤンネコ

一般企業等で長時間働けない障害者が、配慮を受けつつ、短時間から働ける場所なんだね。

就労継続支援A型のサービス提供をする施設を「就労継続支援A型事業所」「A型事業所」「A型作業所」などと呼びます。

B型事業所と違い「雇用契約を結ぶ」のが最大の特徴です。

最低賃金が保証されるので、月6~10万円ほどの給料がもらえます。

低収入の方は「無料」で利用可能です。

週3~5日通い、何年も働き続けることができます。

1日の利用時間は3 ~6時間、1事業所あたりの利用者人数は10~20人ほどが一般的です。

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A型事業所/作業所のメリット/デメリット

就労継続支援B型事業所との違いを中心に書きます。

A型事業所/作業所のメリット
  • 月6~10万円の給料がもらえる
  • 一般企業に近い環境で働ける
  • 障害者への配慮があり働きやすい
  • 仕事内容も比較的簡単
  • 無料または低料金で利用できる
  • 家族からのプレッシャーが弱まる
  • 社会参加の場になる
  • 生活リズムが整う
C君

「一般企業で働けない障害者でも働ける場所で、しかもアルバイト並みの給料がもらえる」っていうのが特徴なんだね。

就労継続支援A型の最大のメリットは月6~10万円の給料がもらえることです。

障害福祉サービスの中で、ここまで高い賃金をもらえる就労支援施設は他にありません。

A型事業所/作業所のデメリット
  • 週3~5日通所の必要がある
  • 1日3~6時間、安定して働く必要がある
  • B型より仕事がやや難しい
  • 就職者数は多くない
  • すぐ一般就労したい人には向かない

「就職に特化しているわけではない」というのが最大のデメリットです。

「早く一般企業への就職をしたい人」には向いていません。

就労移行支援と比べれば、就職者数や就職後の定着率は大きく劣ります。

就労継続支援B型と比べた場合は、1日3~6時間、週3~5日働ける人であれば、ほとんどデメリットはありません。

A型事業所/作業所は「どんな人」に向いている?

↓向いているのは、以下すべてを満たす人です。

  • 障害者または難病患者やグレーゾーン
  • 一般企業で長時間、働くのは難しい
  • 1日3~6時間、週3~5日働ける
  • 「就職」より「今の生活費」を優先したい

↓向いていない人は以下の通りです。

  • 1日3~6時間、週3~5日働けない→B型へ
  • 半年~2年以内には就職したい→就労移行支援へ

↓「現在の収入」よりも「早めの就職」を重視したい場合は、就労移行支援がおすすめです。

就労継続支援B型とは?

就労継続支援B型とは、一般企業や他の就労支援施設で働くのが難しい障害者に、働く機会を提供する障害福祉サービスのことです。

ヤンネコ

一般企業やA型事業所、就労移行支援事業所に通えない障害者でも、配慮を受けながら、働ける場所なんだね。

就労継続支援B型のサービス提供をする施設を「就労継続支援B型事業所」「B型事業所」「B型作業所」などと呼びます。

A型事業所と違い「雇用契約を結ばない」のが最大の特徴です。

比較的重度の障害者が多いのも特徴です。

最低賃金は保障されません。月1~2万円ほどの工賃がもらえます。正確には「就労」ではなく「訓練」に位置付けられます。

低収入の方は「無料」で利用可能です。

基本的には週1~5日通い、何年も働き続けることができます。

1日の利用時間は1~6時間、1事業所あたりの利用者人数は10~20人ほどが一般的です。

B型事業所/作業所のメリット/デメリット

就労継続支援A型事業所との違いを中心に書きます。

B型事業所/作業所のメリット
  • 月1~2万円の工賃がもらえる
  • A型や就労移行支援に通えない人でも通える
  • 作業内容はA型よりやさしめ
  • 無料または低料金で利用できる
  • 近くの事業所を見つけやすい
  • 社会参加の場になる
  • 生活リズムが整う
Bさん

「就労移行支援や就労継続支援A型に通えない人でも働ける場」っていうのが最大のメリットだね。

B型作業所は本人の「居場所」としても大きな意味があります。

人と関わることで社会性を身につけるきっかけにもなります。

事業所数がA型の3倍以上あるので「近くのB型作業所を見つけやすい」のも特徴です。

B型事業所/作業所のデメリット
  • 工賃が低く最低賃金以下
  • 退所しても失業保険はもらえない
  • 通所制限が緩いためサボリ癖がつきやすい
  • 就職者数は就労支援サービスの中で最も低い

上記の「就職者数」は利用者比で換算した場合です。

A型作業所と比べた場合、「工賃が低い」というのが最大のデメリットです。

良くも悪くも、A型事業所ほど厳しくはなく

1日1時間や週1日から体調に合わせて通えてしまうため、サボリ癖がついてしまう人もいます。

最低利用時間や最低利用日数は事業所にもよります。

B型事業所/作業所は「どんな人」に向いている?

↓向いているのは、以下すべてを満たす人です。

  • 障害者または難病患者やグレーゾーン
  • 就労継続支援A型や就労移行支援も難しい
  • 社会参加する場所がほしい

↓向いていない人は以下の通りです。

  • 1日3~6時間、週3~5日働ける→A型へ
  • 半年~2年以内には就職したい→就労移行支援へ

↓就職に特化した訓練を受けて「早めの就職」を目指したい場合は、就労移行支援がおすすめです。

就労継続支援A型とB型の違い

A型作業所とB型作業所の違いを中心に、就労継続支援事業所について、わかりやすく解説します。

利用を検討している方は、ぜひご覧ください。

利用条件や対象者

A君

どんな人が対象者なの?違いは?

利用条件や対象者について解説します。

ざっくり言えば、以下のイメージです。

  • 就労継続支援A型事業所の対象者

    一般企業等で働くのは難しいが、サポートがあれば、雇用契約を結んだうえで、安定して働き続けられる障害者

  • 就労継続支援B型事業所の対象者

    就労移行支援や就労継続支援A型にも通えない、または通っても継続や就職ができなかった障害者

具体的な利用条件は、以下の通りです。

「1」「2」「3」は対象者の具体例です。

就労支援利用条件&対象者
A型作業所1.就労移行支援事業を利用したが就労できなかった人
2.特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、就職できなかった人
3.就労経験(※1)はあるが、今は働いていない人
B型作業所1.就労経験(※1)はあるが、年齢や体力等が原因で、一般企業で働くことが困難となった人
2.50歳以上または障害基礎年金1級受給者
3.「1」「2」に当てはまらない人で、就労移行支援事業者などの就労アセスメント(※2)を受けた人

※A型事業所もB型事業所も「精神障害」「発達障害」「身体障害」「難病」のいずれかを持っていることが利用条件です。

※1:「就労経験」には正社員のほかに、アルバイト、パート、派遣社員、契約社員なども含まれます。

※2:就労アセスメントとは「就労面で本人にどんな適性があるか」を評価することを言います。希望する方はお住いの市区町村役場、障害福祉窓口へご相談ください。

※参照:厚生労働省(障害者の就労支援について)

自分が対象者かよくわからない方は、各事業所またはお住いの市区町村役場の障害福祉窓口へご相談下さい。

ヤンネコ

自分はダメかと思ったけど、利用できるみたい・・。

相談してよかった!

となる可能性もあります。

医師の意見書などがあればグレーゾーンの方でも利用可能です。

就労継続支援制度は、一般就労を目指していない人も利用できます。

就労移行支援とは?

障害福祉サービスには「就労継続支援」のほかに「就労移行支援」があります。

障害福祉サービスの就労支援の中で、最も「一般就労」に近いのが就労移行支援事業所です。

就職訓練に特化していて、就職者数や職場定着率は「就労継続支援事業所」よりも、ずっと高いのが特徴です。

その代わり、給料や工賃は基本的になく、原則2年の期限があります。

就労移行支援は1種類しかなく「就労移行支援A型」「就労移行支援B型」などは存在しません。

年齢制限

「A型事業所は原則18~64歳」、「B型事業所は原則18歳以上」という年齢制限の違いがあります。

しかし、18歳未満の障害児でも、児童相談所の意見書があれば、A型事業所もB型事業所も利用できます。

15歳以上であることが条件

また、65歳以上でも条件を満たせば就労継続支援A型の利用が可能です。

65歳以上の人の利用

就労継続支援B型事業所は、年齢制限に上限がないので、65歳以上でも利用できます。

就労継続支援A型事業所は、平成30年4月から65歳以上の人でも、以下の条件を満たせば利用可能となりました。

65歳に達する前5年間障害福祉サービスの支給決定を受けていた者で、65歳に達する前日において就労継続支援A型の支給決定を受けていた者

引用元:厚生労働省

※入院その他やむを得ない事由により障害福祉サービスに係る支給決定を受けていなかった期間を除く

対象障害

就労継続支援施設に通うには、医師の意見書(診断書)等が必要です。

健常者や診察を受けていない人は利用できません。

利用対象となる障害の例は、以下の通りです。

A型作業所とB型作業所の対象障害に違いはありませんが、通う事業所ごとに主な対象障害が設定されている場合があります。

精神障害者の例

うつ病、躁うつ病(双極性障害)、統合失調症、解離性障害、強迫性障害、摂食障害、適応障害、パーソナリティー障害、パニック障害、社会不安障害、てんかん、PTSD、高次脳機能障害、薬物依存症、アルコール依存症など

自室神経失調症(不定愁訴)でも対象者となる可能性があります。

発達障害者の例

広汎性発達障害≒自閉症スペクトラム障害(ASD:自閉症、アスペルガー症候群など)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD:読字障害、書字表出障害、算数障害など)、コミュニケーション障害など

成人してから診断を受けた「大人の発達障害」を持つ人も対象者です。

知的障害者の例

いずれも知的障害の重さに制限はありませんが、A型事業所のほうがB型事業所より程度の軽い利用者が多くいます。

通う施設によって求められる作業レベルも異なるので、お近くの施設を見学してみましょう。

身体障害者の例

視覚障害、聴覚または並行機能の障害、音声機能障害、言語機能障害、咀嚼機能障害、肢体不自由、内部障害(心臓機能障害、腎臓機能障害、肝臓機能障害、呼吸機能障害、ぼうこう・直腸機能障害、小腸機能障害、免疫機能障害)など

難病患者の例

筋ジストロフィー、クッシング病、筋萎縮性側索硬化症、骨形成不全症、クローン病、混合性結合組織病、潰瘍性大腸炎、高安動脈炎、ジストニアなど

厚生労働省が指定している366の疾患に当てはまれば、難病患者も就労移行支援を利用できます。

障害者手帳なしでも利用できる?

A型事業所もB型事業所も同じです。

多くの市区町村では、以下の通りです。

  • 精神障害者、知的障害者、発達障害者

    障害者手帳なしでも、就労継続支援事業所を利用できます。

  • 身体障害者

    原則、障害者手帳が必要です。

お住いの市区町村によって対応が異なるので、障害福祉課等で確認してみてください。

ごく一部の自治体では精神障害者、知的障害者、発達障害者でも「障害者手帳が必要」としているところもあります。一部の自治体では身体障害者でも、障害者手帳なしで利用できる場合があります。

障害者を証明できる書類等

就労継続支援事業所に通うには「障害者」であることを証明する必要があります(※)。

※「支援が望ましい」と医師に意見書を書いてもらえれば、グレーゾーンの方でも利用できます。

一般的には、下記いずれかの書類等で証明可能です。

  • 医師の意見書(診断書)
  • 障害者手帳
  • 障害年金証書
  • 自立支援医療受給者証
  • 特別支援学級/特別支援学校の利用実績

自治体によっても対応が異なるので、参考程度にお考え下さい。

知的障害者の場合は、市区町村が知的障害者更生相談所に確認を取れれば、利用できることもあります。

障害種別の割合

障害種別の割合は、就労継続支援施設の種類によって違いがあります。

就労継続支援A型と就労継続支援B型の障害種別割合の違いグラフ

※発達障害者は「知的」「精神」いずれかに含むと考えられます。

※令和元年データです。

※参照:厚生労働省(国保連データ)

就労継続支援A型就労継続支援B型
精神障害者46.5%36.0%
知的障害者34.8%51.5%
身体障害者17.7%12.3%
難病患者等1.0%0.2%

※発達障害者は「知的」「精神」いずれかに含むと考えられます。

A型事業所は「精神障害者」が比較的多いのに対して、B型事業所は「知的障害者」の方がやや多いのが特徴です。

作業内容/仕事内容

A型作業所、B型作業所では、昔から検品などの単純作業(内職)が行われており

今でも大半の事業所では「軽作業」が行われています。

しかし、近年は「プログラング」「Webデザイン」「eスポーツ」「イラスト制作」など行う事業所も、少しずつ増えてきました。

↓作業内容/仕事内容の例

  • データ入力
  • 部品検品
  • お菓子の箱折
  • カフェ等での接客、販売
  • ネットオークションへの出品
  • 手芸/雑貨づくり
  • パンやクッキーづくり
  • 清掃
  • IT(プログラミング、Webデザイン)
  • イラスト作成
  • eスポーツ

作業の種類自体はA型もB型もあまり違いませんが、A型事業所のほうが、やや高度なスキルが求められます。

プログラミングやWebデザイン、イラストなどはA型事業所、eスポーツはB型事業所に多い印象です。

平均賃金【給料&工賃】

A型作業所とB型作業所では、収入面に大きな違いがあります。

令和2年度時点では、以下の通りです。

就労支援施設平均賃金
【給料&工賃】
就労継続支援A型事業所月額79,625円
就労継続支援B型事業所月額15,776円

多くのA型事業所の場合、給料のほぼ全額が手取りになります(月数百円の雇用保険料が天引き)。一部の事業所では、厚生年金保険料や健康保険料も天引きされます。

雇用契約を結ばないB型事業所では「給料」や「賃金」とは呼ばず、「工賃」と呼ぶのが一般的です。全額が手取りとなります(社会保険料以外に天引きされるものがない場合)。

しかし、上記はあくまで全国平均です。

都道府県によっては、平均賃金は最大で約3万円も異なります。

A型作業所の平均給料(都道府県別)
平均賃金(月額)都道府県
9.5~10万円東京
9~9.5万円広島、島根、和歌山
8.5~9万円高知、京都、長崎、福井、長野、佐賀
8~8.5万円鳥取、兵庫、大分、滋賀、神奈川、岩手、山口、大阪、岡山、茨城、埼玉
7.5~8万円愛知、静岡、岐阜、山形、香川、北海道、宮城、福岡、福島、三重、千葉、奈良
7~7.5万円熊本、徳島、新潟、秋田、群馬、鹿児島、栃木、沖縄、山梨、愛媛、富山
6.5~7万円石川、青森、宮崎

※参照:厚生労働省

A型事業所の賃金平均は、最高額が東京都の97,129円/月、最低額は宮崎県の65,927円/月です。

A型作業所では、雇用契約を結ぶので最低賃金が保証されます。

B型作業所の平均工賃(都道府県別)
平均賃金(月額)都道府県
2~2.2万円徳島、福井、高知
1.8~2万円宮崎、佐賀、岩手、鳥取、北海道、島根、山口
1.6~1.8万円長崎、大分、鹿児島、和歌山、滋賀、宮崎、山梨、愛知、広島、愛媛、群馬、香川、三重、栃木、奈良、富山
1.4~1.6万円京都、沖縄、静岡、秋田、岐阜、長野、熊本、石川、福島、東京、岡山、神奈川、茨城、新潟、埼玉
1.2~1.4万円兵庫、福岡、千葉、青山、大阪
1~1.2万円山形

※参照:厚生労働省

B型事業所の工賃平均は、最高額が徳島県の21,631円/月、最低額は山形県の11,691円/月です。

B型作業所では、雇用契約を結ばないので、最低賃金以下となることが大半です。

雇用契約を結ばないB型事業所では、最低賃金以下となっても、法的に問題はありません。

利用時間や利用日数

利用時間、日数もA型事業所とB型事業所で違いがあります。

就労継続支援A型就労継続支援B型
利用日数週3~5日週1~5日
1日の利用時間3~6時間ほど1~6時間ほど
休日土日、年末年始、お盆など
有給休暇あり
土日、年末年始、お盆など
有給休暇なし

※1:事業所によって異なります。

※事業所によっては祝祭日が休みというところもあります。

A型作業所では、事業所ごとの最低日数(週3~5日)通えることが利用条件です。

休みや遅刻に関しては、B型作業所よりA型作業所のほうが厳しい傾向にあります。

どちらも一般企業に比べれば、スタッフはやさしめですが、利用者に対する指導方針は、事業所によって大きく異なります。

雇用契約があるA型事業所では、有給休暇の取得が可能です。

出勤率8割以上で、半年後に10日もらえます。

利用期間

就労移行支援とは違い、就労継続支援A型や就労継続支援B型には、利用期限(標準利用期間)がありません。

なので、どちらも年齢制限内なら、何年でも通い続けられます。

障害福祉サービス受給者証(支援を受けるために発行される手帳)は、定期的に更新する必要があります。

利用料金

利用料金にも大きな違いはありません。

本来の1日の利用料は、就労継続支援A型は500~1,000円、就労継続支援B型は500~700円ほどです。

通う施設によって異なります。

しかし・・

収入に応じて利用者負担額には上限が設定されるので、実際には90%以上の人が「無料」で利用しています。

↓詳しくはこちらの記事をご覧ください。

↓無料になる年収目安や減免制度も↓
A型事業所の利用料金
↓無料になる年収目安や減免制度も↓
B型事業所の利用料金
ガイドさん

収入や家族構成などから、自己負担の上限を計算できるツールも作ったよ。

↓利用者負担額の仕組みも理解できます。

↓世帯の範囲やいつの収入が影響するかも↓
利用者負担額の計算ツール

利用方法/利用の流れ

C君

就労継続支援施設を利用するには、どんな手続きが必要?A型とB型で違いはある?

利用方法はA型事業所もB型事業所も大体同じですが、少しだけ違いもあります。

まずは、共通する手続きの流れを見てみましょう。

障害福祉サービス受給者証とは?

障害福祉サービスを受けるのに必要なパスポートのようなものです。

これがなければ就労支援を利用できません。

市区町村役場の障害福祉課で申請して発行してもらいます。

↓利用の流れ

  • 1.事業所探し

    インターネット検索などで事業所を探します。A型作業所の場合はハローワークやハローワークインターネットサービスでも、求人のある事業所を探せます。

  • 2.見学

    気になる事業所があれば、複数見学しましょう。事前にメールや電話で見学の予約を取るとよいでしょう。

  • 3.市町村役場に申請

    お住いの市区町村役場の障害福祉課で、受給者証の申請を行います。利用条件を満たしているかなどの審査があります。

  • 4.障害福祉サービス受給者証が届く

    申請から1週間~2か月ほどで受給者証が届きます。届いたら通う予定の事業所へ連絡を取り、利用契約を結びます。受給者証も持っていきましょう。

  • 5.利用開始

    事業所との話し合いで通所開始日を決定し、利用開始となります。

就労継続支援A型事業所の場合は、上記に加え、以下の手順が必要になります。

  • 面接前にハローワークで紹介状を発行してもらう
  • 履歴書を用意し面接を受ける
  • 事業所と雇用契約を結ぶ

A型作業所の場合は、B型とは違い、ハローワーク経由で作業所へ面接を申し込む必要があります。

履歴書も用意しましょう。

ハローワーク紹介状や面接のタイミングは?

先に面接して内定をもらってから受給者証の申請をするのか、受給者証が届いてから面接を行うのかは作業所により様々です。

各事業所の指示に従ってください。

A型の場合、ハローワークの紹介状は、面接前にもらうのが一般的です。

面接をする場合は、ハローワークで紹介状をもらってきてください。

と見学後にスタッフから言われることが多くあります。

面接で落ちることはある?

A型作業所、B型作業所それぞれ解説します。

A型事業所/作業所の場合

一般企業に比べれば合格しやすいですが、面接で落ちることもあります。

特に「安定して週3~5日通えるかどうか」が重視されます。

その他、事業所によって「割と誰でも入れるところ」「厳しく審査するところ」など基準は様々です。

週5日通える人でも、面接に落とされるケースはあります。

最低限の身だしなみを整えて面接に臨みましょう。

服装は私服で構いません。

B型事業所/作業所の場合

A型事業所より落ちる可能性は低いですが、入所を断られるケースはあります。

主に以下の点を見られます。

  • 通所や訓練への意欲はあるか?
  • 問題行動を起こさないか?

面談時の服装は私服で構いません。

対人恐怖が強いコミュ障でも大丈夫?

A型作業所、B型作業所ともにコミュニケーション障害があっても通所している人は大勢います。

事業所にもよりますが、強い対人恐怖があって、人とほとんど会話できないレベルでも通うことが可能です。

コミュ障かどうかよりも「通所が安定しているか?」「意欲はあるか?」「問題行動を起こさないか?」などが重視されます。

ただ、スタッフと意思疎通が必要な場面はあります。

見学や面接時に、家族や相談員、支援者などが同行するのは問題ありません。

在宅支援/在宅利用

就労継続支援は、基本的に通所して支援を受けるものですが・・

一部の作業所では在宅利用/在宅ワークが可能です。

A型とB型で「在宅支援を行う事業所割合」の違いは、ほとんどありません。

就労支援在宅支援を行った事業所の割合
就労継続支援A型18.9%
就労継続支援B型15.9%

※令和2年10月の1か月における実施状況です。

※参照:厚生労働省(在宅でのサービス提供の実施状況)

新型コロナの影響で、近年は在宅支援の条件が緩和されています。

条件は以下の通りです。

  • 1.在宅サービスの利用を希望している
  • 2.市区町村に「在宅訓練」が適当と判断されている
  • 3.事業所が在宅支援に対応している

在宅ワークを希望する人は、各事業所へ相談してみてください。

リモートワークといっても事業所ごとに「週1回は通所する」「月1回は通所する」などの要件があります。PCやネット環境を無料で用意してくれる事業所もあります。

サービス利用後の進路

A型作業所もB型作業所も、同じ作業所で何年も働き続ける人は多くいます。

大半の人が翌年も同じ事業所で働きますが、一方で辞めていく人も一定数います。

事業所を辞めた利用者が「どうなったか(どこへ行ったか)」の違いも見てみましょう。

サービス利用後の進路

就労継続支援A型事業所と就労継続支援B型事業所の就職率の違い

※参照:厚生労働省

移動先
進路
就労継続支援A型就労継続支援B型
就職25.1%13.2%
就労継続支援A型11.4%5.8%
就労継続支援B型7.8%20.6%
就労移行支援2.5%4.1%
他の施設等3.3%12.7%
その他50.0%43.6%

※四捨五入しているので合計が100%になるとは限りません。

一般就労移行率(就職者割合)はA型事業所が25.1%、B型事業所は13.2%です。

就労継続支援A型の場合は、就労支援の後に4人に1人が一般就労しています。

就労継続支援B型の場合は、別のB型作業所へ移動する人が多くいます。

就職を目指すなら、就職率や就職後の定着率が圧倒的に高い「就労移行支援」がおすすめです。

アルバイトや副業との併用

A型、B型問わず、就労継続支援事業所とアルバイト(副業含む)の併用は禁止されることが多くあります。

理由は「就労困難な人のための就労支援なので、アルバイトできる人に就労支援は必要ない」とみなされることが多いからです。

しかし、実態としてはグレーゾーンで、市区町村や事業所から許可が出れば可能なこともあります。

実際には、アルバイトや副業をやっている人はチラホラいます。

最終的には各市区町村の判断にゆだねられています。

ちなみに厚生労働省は、一般就労を始めた障害者に対しては「働きながら就労支援を利用する」ことに前向きな見解を示しています。

A君

隠れて働けばバレないんじゃない?

給料等を支払った会社は、市区町村への報告義務があるので、隠れて副業やアルバイトをしても基本的にバレます。

許可されるケースは多くありませんが、どうしてもアルバイトしたい人は施設スタッフへ相談してみましょう。

障害年金との併用

障害年金とは、一定以上の障害を持つ人がもらえるお金のことです。

2級の場合、年80万円ほどの収入を得られます。

Bさん

就労継続支援A型は就労だから、障害年金の審査に落ちたり、支給停止になったりしない?

と心配する方もいますが・・

就労支援施設(A型事業所、B型事業所、就労移行支援)を利用しているからといって、障害年金の審査に落ちたり、支給停止になったりすることはありません。

実際に、障害年金をもらいながら通っている人は大勢います。

日本年金機構のガイドラインにも明記されています。

就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)及び障害者雇用制度による就労については、1級または2級の可能性を検討する。就労移行支援についても同様とする。

引用元:日本年金機構(等級判定ガイドライン)

障害年金の審査は、一般企業か否か、障害者雇用か否かを問わず、「就労でどの程度援助を受けているか」「日常生活にどのくらい支障をきたしているか」など総合的に判断して行われます。就労支援施設のような福祉的就労は、その理由の1つになるといった具合です。「働いている=障害年金不支給&減額」ではありません。

ガイドラインには、その他にも精神障害者、発達障害者、知的障害者の審査で考慮される点がたくさん書いてあります。興味のある方はご覧ください。

「障害年金を受給中で、これから就労支援を利用する人」も「就労支援を利用中で、これから障害年金を申請する人」も、特に気にする必要はありません。

ただし、担当医には

  • 就労支援施設に通っていること
  • 受けている援助の内容

など、きちんと伝えておきましょう。

失業保険(雇用保険)との併用

失業手当(失業給付金)とは、雇用保険に加入して働いていた人が失業した際にもらえるお金のことです。最大で給料の8割ほどのお金が、障害者の場合150~360日もらえます。

就労継続支援と失業保険(雇用保険)の関係については以下の通りです。

A型事業所とB型事業所とでは違いがあります。

通所と併用退所後
就労継続支援A型失業手当をもらいながら通所はできない(※1)。1週間の所定労働時間(※2)が20時間以上になるため。A型を辞めた後は失業手当がもらえる。雇用保険に入ることがほとんどなため。(※3)
就労継続支援B型失業手当をもらいながら通所できる。週20時間以上、作業しても不支給にはならない(※4)。1日約1,300円以上の工賃がある場合は、減額の可能性あり。B型を辞めた後は失業手当がもらえない。雇用契約がなく、雇用保険にも入らないため。(※5)

※1:非雇用型はもらえる可能性があります。

※2:契約上の労働時間のことです。実労働時間ではありません。

※3:雇用保険加入期間が12か月以上あるなど、その他の要件も満たす必要があります。

※4:雇用契約を結んでいないので、雇用保険の基準は満たしません。なので、週20時間以上でも不支給にはなりません。

※5:B型事業所の利用中に受給しているなど、利用前の時点で加入条件を満たしていれば、辞めた後でももらい続けられます。

A型作業所を退所後は、多くの場合、失業手当(失業給付金)がもらえますが、B型作業所は(利用前の時点で加入条件を満たしていなければ)退所してももらえません。

一方、失業手当を受給しながら、A型作業所へは通えませんが、B型作業所へは通えます。

失業手当の受給者がA型事業所に就職した場合は、代わりに「再就職手当」をもらえることがあります(詳細は以下)。

B型作業所では、実際に作業した日の1日あたりの工賃(X)が、約1,300円を超えた場合、失業手当が減る可能性があり

Xが前職の1日あたりの収入(退職前6か月の合計収入÷180日)の80%を超えた場合は、失業手当が不支給になります。

実際にはB型作業所は工賃が低いので、失業手当が減額になることはあまりなく、不支給になることもほとんどありません。

ちなみに失業保険(失業手当・給付金)と障害年金は併用可能です。

併用が原因で、減額や支給停止になることは、どちらもありません。

※ハローワークの担当者によっても対応が異なることがあります。

精神科デイケアとの併用

精神科デイケアとは、精神障害のある方が、社会参加や日常生活の安定のために通う通所型サービスのことです。簡単なレクリエーション活動などを行います。主に医療機関や保健所、精神保健福祉センターなどで行われています。

精神科デイケアと就労継続支援A型、B型の併用は可能です。

ただし、同一日中に両方を利用できないケースもあり、その場合は「通所の日」or「デイケアの日」となります。

就労継続支援と授産施設の違い

授産施設(授産所・授産事業)は、生活保護法に基づいて設置された障害者施設です。

障害者自立支援法(現:障害者総合支援法)が2006年に施行されてから、授産施設は

  • 就労継続支援A型事業所
  • 就労継続支援B型事業所
  • 就労移行支援事業所

などへ形を変えた、という歴史があります。

つまり・・

授産施設は昔の呼び方で、就労継続支援事業所は、形が変わったもののうちの1つということになります。

まとめ

  • 就労継続支援事業所(就労継続支援施設)

    「一般企業での就労が難しい障害者」の働く場

  • 就労継続支援A型事業所

    「比較的軽度の障害者が、雇用契約ありで、月8万円ほどの給料をもらいながら」働く場

  • 就労継続支援B型事業所

    「比較的重度の障害者が、雇用契約なしで、月1.5万円ほどの工賃をもらいながら」働く場

  • A型とB型の違いは「雇用契約の有無」「賃金の額」「通所日数」「年齢制限」「利用条件」など

  • 半年~2年以内に就職したいなら「就労移行支援」へ

「就労継続支援事業所とは?」「A型とB型の違いは?」「どんな人に向いている?」など理解できたでしょうか?

A型作業所やB型作業所は「働きたい障害者」の最後の砦のようなものです。

気になる事業所があったら、ぜひ見学してみてください。

当記事がお役に立てば幸いです。

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