就労継続支援B型

評価表による能力給はダメ? B型事業所の工賃の決め方

ヤンネコ

B型事業所の工賃は能力給でもいいの?

出来高制ならいいけど評価表は‥

ガイドさん

「利用者の意欲を上げたいから能力給にしたいけど‥」など、工賃の決め方に悩む経営者の方は少なくありません。

就労継続支援B型事業所には、工賃規程に能力給を取り入れているところもあります。

実態としては、数量に応じた出来高制を取り入れていたり、一部では評価表を取り入れている事業所があったりします‥。

評価表チェック項目の例

・作業に対する意欲/責任感/集中力

・作業の正確性

・開始時間やあいさつなどの遵守

しかし、厚生労働省の通達には「利用者の技能に応じた工賃の差別」は認められないとあり、専門家の間でも見解が異なっているのが現状です。

評価表による能力給はダメ?

結論から述べると以下の通りです。

工賃形態可能か?
評価表による能力給
出来高制による能力給

就労継続支援B型の工賃は、成果物の数量などに応じた「出来高制」による能力給は一般的に問題ないとされていますが、「評価表」による能力給を取り入れる際は、各自治体に確認を取ってください。

厚生労働省の通達にある「エ 利用者の技能に応じて~」という表現があいまいなのが原因ですが、現在のところ「評価表による能力給」に関して、厚生労働省のはっきりとした見解はないようです。

1 就労継続支援事業利用者に関する留意事項

就労継続支援事業を利用するにあたり、各事業の利用者に対して、次の点に留意されたいこと。(中略)

(2) A型利用者(雇用無)及びB型利用者

ア 利用者の出欠、作業時間、作業量等が利用者の自由であること。

イ 各障害者の作業量が予約された日に完成されなかった場合にも、工賃の減額、作業員の割当の停止、資格剥奪等の制裁を課さないものであること。

ウ 生産活動において実施する支援は、作業に対する技術的指導に限られ、指揮監督に関するものは行わないこと。

エ 利用者の技能に応じて工賃の差別が設けられていないこと。

引用元:厚生労働省「就労継続支援事業利用者の労働者性に関する留意事項について」

B型事業所やA型事業所(雇用無)の利用者は「労働者」ではないので、一般企業のように能力によって賃金(工賃)に差をつけてはならないというわけです。

「技能に応じて」の部分ですが、例えば長野県では以下の取扱いになっています。

「技能に応じて」とは、成果物の出来栄え等をいうものであって、作業内容や成果物の出来高に応じて工賃に差を設けることは差し支えないこと。

引用元:事業所の工賃向上計画策定に関するガイドライン

地域によっても、どこまでがOKか見解が分かれている可能性があります。

不安な場合は、自治体(または労働基準監督署)に確認して「お墨付き」をもらうことをおすすめします。

利用者の意欲を上げる工夫

「作業意欲の向上」や「利用者間の不満の軽減」のために、直接の評価や能力給以外でできる工夫を2つ紹介します。

作業内容ごとに工賃に差をつける

「作業の質」による工賃の差別はできませんが、「作業内容ごとに工賃の金額を変える」のは、一般的に問題ないとされています。

例えば「作業B」より難しい「作業A」を行う利用者が、工賃が同じであることに不満を持っている場合‥。

作業ごとに工賃に差をつける【例】

作業A:時給250円
作業B:時給250円

 ↓

作業A:時給300円
作業B:時給200円

このようにすれば、より難しい作業Aを行う利用者側の不満は減ります。

また、工賃に差がつくことによって作業Bの利用者は「もっとがんばって作業Aに移りたい!」と意欲が高まることも考えられます。

逆に作業Aの利用者は「外されないようにもっと作業がんばろう!」と思ってくれるかもしれません。

どの作業にどの利用者を割り振るかは、職員側が決められるので、間接的に能力給に似た制度を作れるというわけです(※1)。

※1:この方法も職員側の主観が入りかねないので、取り入れる際は、念のため自治体にご確認ください。実施の際は、利用者が納得できる評価体制を整えましょう。

ヤンネコ

出来高制との組み合わせなら、もっと意欲上がりそうだね。

ただ‥「がんばっているのに評価してくれない」など利用者が不満を持つ可能性も考える必要はあるよ。

ガイドさん

利用者ごとに「できること」「できないこと」がある中で、みんなが納得できそうなルールを考えていきましょう。

賞与や手当をつける

B型事業所では、作業工賃のほか、手当や賞与(ボーナス)を利用者に与えることができます。

手当や賞与【例】

・皆勤手当

・施設外作業での特別手当

・業績に応じた賞与

先ほどの「事業所の工賃向上計画策定に関するガイドライン」では、工賃による「基本給」に上乗せする形で、以下の「実績給(加算制度)」も紹介されています。

実績給【例】

・工賃加算型実績給(任意参加型作業)

・作業量評価型実績給

・難易度評価型実績給

ただ、こちらも管轄する自治体によって見解が異なる可能性があるので、主観が入りそうな評価制の是非については、各自治体へご確認ください。

工賃制度の工夫による改善事例

利用者ごとの働き方に合わせた規程の工夫で、モチベーションの向上や公正さを改善した事例を2つ紹介します。

工賃制度の改善事例1

作業アセスメントを作り込んで改善した事例です。

課 題: 工賃総原資を利用者の出席率等によって個々の配分率を算出し分配しているが、利用者それぞれの働きに合わせて工賃を支払ってあげたい。

実践内容: 内職作業等においては作業によって難易度が異なるため、細かく作業アセスメント表を作り込み、利用者ごとにしっかりとアセスメントを行うことで、担う作業が幅広い利用者には高い工賃で応えられるよう工賃規程案を作成。

引用元:事業所の工賃向上計画策定に関するガイドライン

利用者一人一人の働きに見合う工賃の支払いが可能となり、職員も「多くの工賃を確保するにはどうすべきか」意識が高まったとのことです。

工賃制度の改善事例2

日給制を取り入れることで、通所率まで上がった例です。

課 題: 工賃の支払い方が時給(固定)なので、働く意欲を十分に高められない。

実践内容: 工賃規程を改定し、時給に加え日給を導入。

引用元:事業所の工賃向上計画策定に関するガイドライン

日給制の導入により「通所率アップ」「工賃アップによる利用者の働く意欲向上」などの結果につながったとのことです。

まとめ

  • 評価表による能力給を取り入れたい場合は、自治体に確認するのが無難
  • 作業量に応じた出来高制はOK
  • 作業内容ごとに工賃に差をつけるのはOK
  • 賞与、手当、工賃の支払い方法も工夫しよう

工賃の決め方次第で「働く意欲」が刺激され、通所率や業績にも影響を及ぼします。

できるだけ利用者全員が納得しやすい形で、かつ作業や通所の意欲を刺激できるような制度を目指しましょう。

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