就労移行支援

就労移行支援は何歳から?高校生は?18歳未満の利用者負担など障害児が通うには

ヤンネコ

就労移行支援の年齢制限は?何歳から利用できるの?

高校在学中での利用は?

児童相談所長から許可が出れば、15歳から利用できるよ。

全日制の高校生の利用は難しいかな‥。

ガイドさん

よく「就労移行支援は原則18歳以上」と言われますが、実は児童相談所長の意見書さえあれば、15歳以上の障害児も就労移行支援を利用できます。

ちなみに要件に合致すれば、65歳以上でも一応利用可能です。

  • どんな場合に許可が出るのか?
  • 高校生は?通信制高校/定時制高校の学生は?
  • 18歳未満の利用者負担&利用の流れ
  • 他障害児支援サービスとの併用
  • 18歳未満でも受けられる他の障害福祉サービス

など解説していきます。

当サイトの情報は記事執筆時点で収集したものです。厚生労働省等の情報を参考にしていますが内容を保証するものではありません。詳しくは各自治体や事業所等へお尋ねください。

就労移行支援は条件付きで15歳から利用可能!

厚生労働省の資料によると、就労移行支援は15歳以上なら利用可能です。

ただし、児童相談所長から許可が出た場合に限ります(※1)。

許可が出れば、「18歳未満の障害児」は「障害者」として一部の障害福祉サービスの対象者となります。

※1:発達障害や精神障害の場合は、精神保健福祉センターが利用許可を出すことがあります。

15歳以上の障害児については、児童相談所長が障害者のサービスを受けることが適当と認め、その旨を市町村長に通知した場合は、この通知に係る障害児を障害者とみなして訓練等給付費等の対象とすることとなっています。

引用元:障害者就労支援マニュアル

就労移行支援事業所を利用している「18歳未満の障害児」は、全国で300人前後です。

利用者全体の約1%にあたります。

年齢別の就労移行支援の利用者割合
年代利用者数
18歳未満0.9%
18歳以上
20歳未満
10.3%
20歳以上
30歳未満
36.9%
30歳以上
40歳未満
22.5%
40歳以上
50歳未満
18.7%
50歳以上
60歳未満
9.5%
60歳以上
65歳未満
1.2%
65歳以上0.05%

どんな障害児に許可が出る?

18歳未満でも対象となるのは「支援(療育)の必要性が認められた障害児」です。

就労移行支援の場合は「一般就労等を希望し、知識・能力の向上等を通じ、職場への就労等が見込まれる者」です。

障害児に該当するか否かは、例えば以下のように判定されます。

対象となる障害児(例)

・療育手帳、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳が交付されている

・医師による医学的診断がある(自閉症スペクトラム症、難病等)

・児童相談所や医療機関等への意見照会などにより、支援の必要性が認められている

・特別児童扶養手当等の支給が適当と判断されている

平成31年の岡山県の資料を参考にしています。自治体によって許可の基準が異なることがあるので、参考程度にご覧ください。(参考:こどもたちの育ちや自立を支援する制度について

自治体にもよりますが、基本的に障害者手帳の所持や医学的診断を受けていることは必須ではありません。

特別支援学校を卒業後に、そのまま就労移行支援事業所を利用する人もいます(※1)。

※1:特別支援学校卒業後は、約6割の学生が就労支援施設等の社会福祉施設を利用しています。(参考:文部科学省「学校基本統計」

高校生は?高校在学中の利用は?

在学中の高校生が就労移行支援を利用することは、基本的に想定されていません。

最終的にはお住いの市区町村の判断によりますが、難しいと考えられます。

ただし、通学の必要がほとんどなく日中に時間を取りやすい通信制高校の場合、学生が利用できるケースもあるようです。

通信制高校に通いながら移行支援事業所に通うことも、A型事業所で働きながら通うことも出来ます。

引用元:株式会社B.Continue

その他、日中に時間の取れる夜間の定時制高校に通う学生も、利用できる可能性はあります。

利用したい場合やハッキリした回答を得たい場合は、お住いの市区町村役場(障害福祉課)に相談してみましょう。

ガイドさん

就労支援サービスは日中に訓練があるから、午前や昼に授業のある全日制高校の在学中での利用は現実的ではないよ。

通信制高校同様、夜間の定時制高校の学生も、利用できる可能性はあるけど、ハードな生活は覚悟しておこう。

通える場合は学校側にも相談しておこう。

18歳未満(障害児)の利用者負担額

本来は1日500~1,300円ほどの利用料が必要ですが「生活保護」または「住民税非課税」の場合は無料で利用できます。

障害福祉サービスには、所得に応じて「月に〇円以上の利用料はかかりません」という上限負担額が決められているためです。

障害児(18歳未満)が利用する場合、就労移行支援の利用者負担上限額は以下の通りです。

対象負担上限月額
生活保護受給世帯0円
保護者の属する世帯全員の市町村民税が非課税
保護者の属する世帯の市町村民税所得割の合計が28万円未満4,600円
保護者の属する世帯の市町村民税所得割の合計が28万円以上37,200円

18歳以上が利用する場合とは「利用料金が発生する所得割額」と「一部の負担上限額」「世帯の範囲」が異なります(※1)。

※1:利用者が18歳未満の場合、保護者の属する住民基本台帳上の世帯で計算されます。18歳以上の場合は本人とその配偶者のみが世帯とみなされます。

ガイドさん

保護者の属する世帯の「住民税の課税状況」で利用者負担上限額が決まるよ。

年収どのくらいまでなら無料なの?

ヤンネコ

世帯構成や控除額、地域などによっても変わりますが‥

「①年収200万~300万円未満なら0円/月」「①以上で年収900万円未満なら4,600円/月」「年収900万円以上なら37,200円」が目安です。

  • 「収入の種類」「地域」「控除」など考慮した、もう少し正確な計算シミュレーション
  • いつの年収が判定に用いられるか?

など知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

障害福祉サービスの利用料金や減免措置に関して詳しく解説しています(18歳未満の場合についても)。

「収入の種類」「地域」「控除」など、世帯ごとの状況に合わせて計算できるシミュレーションツールをご用意してます。

18歳未満(障害児)の就労移行支援の利用方法

児童相談所長の許可が必要ではあるものの、18歳以上の障害者が利用する流れと大きくは変わりません。

事前に市区町村役場(障害児福祉窓口)で、お子さんが利用できそうか確認しておくとよいでしょう。

ガイドさん

よくわからなかったら、とりあえず市区町村役場で相談すれば、なんとかなるよ。

  • 1.事業所探し&見学

    インターネット等で通える範囲の就労移行支援事業所を探し、見学してみましょう。施設にも良し悪しあるので、できれば2~3か所見学しておきましょう。

  • 2.市区町村役場(障害児福祉窓口)に相談

    担当窓口がわからない場合は、職員さんに聞いてみましょう。

  • 3.サービス等利用計画案の作成&提出

    障害福祉サービスを利用するにあたっての計画案を作成します。ご家族が作成(セルフプラン)または、相談支援専門員に作成を依頼します(無料)。

  • 4.障害福祉サービス受給者証の交付

    審査に通れば、1週間~2か月ほどで受給者証が交付されます。

  • 5.施設と契約&利用開始

    受給者証が届いた後にお好みの就労移行支援事業所と利用契約を結んで利用開始です。

サービス等利用計画案の作成代行をしてくれる相談支援事業所は、窓口で案内してもらえます。

その他の障害児支援サービスとの併用は?

就労移行支援と「障害児入所施設」や「放課後等デイサービス」「児童養護施設/里親」との併用可否について解説します。

参考:厚生労働省「障害者就労支援マニュアル」(平成29年3月)

障害児入所施設との併用は?

障害児入所施設に措置入所している児童は、措置の対象となったまま就労移行支援を利用することはできません。

放課後等デイサービスとの併用は?

放課後等デイサービスと就労移行支援の併用は可能です。

ただし、同じ日に放課後等デイサービスと就労移行支援の利用はできません。

児童養護施設や里親委託との併用は?

児童養護施設の入所児童や里親に委託されている児童なども就労移行支援と併用可能です。

平成27年4月から措置対象となったまま利用できるようになりました。

障害児が利用できる他の障害福祉サービス

18歳未満でも、15歳以上で利用が適当とみなされた障害児は、以下の障害福祉サービスを利用できます。

分類サービス名
訓練・就労支援系就労移行支援
就労継続支援A型
就労継続支援B型
就労定着支援
自立訓練
訪問系重度訪問介護
日中活動系療養介護
生活介護
施設系施設入所支援
居住支援系自立生活援助
共同生活援助(グループホーム)
相談支援地域移行支援
地域定着支援

↓就労移行支援と就労継続支援A型B型の違い
就労移行支援と就労継続支援A型B型の違い!評判や口コミも

まとめ

  • 児童相談所等から許可が出た場合は18歳未満(未成年)でも就労移行支援は利用可
  • 就労移行支援の利用者の約1%は18歳未満
  • 障害者手帳なしでも利用可
  • 高校生が在学中、就労移行支援を利用することは難しい(通信制や定時制なら可能性あり)
  • 障害児入所施設との併用は不可だが、放課後等デイサービスや児童養護施設との併用は可

利用したい場合は、施設探しを始めたり、市区町村役場に相談して申請したりしましょう。

当記事が参考になれば幸いです。

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