就労移行支援

就労移行支援を障害者手帳なしで利用する方法!診断書なしでもいい?

ヤンネコ

障害者手帳なしで就労移行支援事業所を利用するには?

障害者手帳の代わりに「障害や疾患を証明できるもの」が必要だよ。

ガイドさん

障害者総合支援法に定められた障害福祉サービスは、「障害者手帳なし」「診断書なし」でも利用できることがあります。

「就労移行支援」や「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」は、障害者手帳がなくても受けられるサービスです。

  • 障害者手帳の代わりになるもの
  • それでも障害者手帳をできれば取得したほうがいい理由
  • 障害者手帳のメリット/デメリット

など解説します。

当サイトの情報は記事執筆時点で収集したものです。厚生労働省等の情報を参考にしていますが内容を保証するものではありません。詳しくは各自治体や事業所等へお尋ねください。

就労移行支援は障害者手帳なしでもOK!ただし‥

就労移行支援を利用するのに障害者手帳は必須ではありませんが「障害福祉サービス受給者証」と呼ばれるものは必要です。

障害福祉サービス受給者証とは、障害福祉サービスを受けるための許可証のようなものです。

障害福祉サービス受給者証と障害者手帳の違い

障害福祉サービス受給者証と障害者手帳には以下の違いがあります。

障害福祉サービス受給者証障害者手帳
何に必要?就労支援などの障害福祉サービスを受けるのに必要税金の控除、施設の利用料やサービスの割引/減免を受けるのに必要
取得障害か微妙な人でも取得できることがある(※1)一定以上の症状がみられる障害者が取得可

※1:就労移行支援の場合です。

障害福祉サービス受給者証が発行できるかは、利用する施設ではなく、お住いの市区町村が判断します。

受給者証の申請方法については、以下の記事をご覧ください。

障害者手帳の代わりになるもの

障害福祉サービス受給者証は、障害者手帳がなくても取得できます。

ただし、障害者手帳がない人は、障害者手帳の代わりに「障害や疾患を証明するもの」が必要です。

知的障害のある方や精神障害のある方のサービス利用については、障害者手帳を持っていなくても、知的障害のある方であれば、市区町村が必要に応じて知的障害者更生相談所に意見を求めて確認することができること、精神障害のある方であれば、精神障害を理由とする障害年金の受給を証明する書類や医師の診断書などによって、障害があると判断されれば、サービスを受けることができます。

引用元:WAMNET よくあるご質問

障害者手帳なしの場合、以下のいずれかがあれば就労移行支援を受けられます。

障害者手帳の代わりになるもの

・障害年金証書

・自立支援医療受給者証

・医師の意見書

・特別支援学級/特別支援学校の利用実績

自治体によっては、上記でも審査に通らないことがあります。お住いの市区町村役場障害福祉課にご確認ください。

医師の意見書とは「就労移行支援の対象者になりうるか?」を医師の立場で判定して紙に書いたものです(診断書ではありませんが、医師の診察は必要です)。

いずれにせよ、基本的には病院での診察は必要です。

自立支援医療受給者証とは?

精神障害者(発達障害者含む)の通院による医療費が安くなる制度です。自己負担額が1割になります。

診察や薬代、精神科デイケアの料金などが対象です。

継続的な通院が必要となる精神障害者や発達障害者なら、比較的簡単に取得できます。

デメリットは特にないので、精神障害者・発達障害者の方は、ぜひ取っておきましょう。

上記は自立支援医療制度の「精神通院医療」の説明です。身体障害者向けの「更生医療(18歳以上)」「育成医療(18歳未満)」では、手術等の治療費も対象になります。

知的障害者は、前述の通り「市区町村が必要に応じて知的障害者更生相談所に意見を求めて確認できる」場合も利用可能です。

身体障害者は原則手帳が必要

身体障害者は、原則障害者手帳が必要です。

ただし、一部の市町村では障害者手帳を持っていない身体障害者もサービスを受けられるとのことです。

難病患者の方も、厚生労働省が指定する360以上の疾患に当てはまれば、障害者手帳なしでも就労移行支援を利用できます。

お住いの市区町村役場障害福祉課にて相談してみてください。

医師の意見書をもらうには?

先ほど述べた「障害者手帳の代わりになるもの」の中で、最も早く手軽に入手できるのは「医師の意見書」です。

取得したい場合は、精神科・心療内科の医師に「就労移行支援を利用したいので医師の意見書をいただけませんか?」とお願いしてみましょう。

医師の意見書は、2,000円~4,000円ほどで作成してもらえます(診察代等は別途)。

通院していない人は?

近くの病院を探して、一度診察を受けましょう。

精神障害、発達障害、知的障害いずれが疑われる場合でも「精神科」や「心療内科」が担当の科となります。

初診で意見書を書いてもらえるかはわかりませんが、とりあえず行ってみましょう。

医師にも合う合わないがあるので、ネット等で評判をチェックしてから病院へ行くことをおすすめします。

万が一、意見書を書いてもらえなかった場合は、別の病院の医師にセカンドオピニオン(別医師の意見)を求めてみましょう。

同じ症状を持った人でも、医師によって判断が異なることはよくあります。

障害者手帳なしだと障害支援区分はどうなる?

障害支援区分とは「障害福祉サービスを受けるにあたって、どの程度の支援が必要か度合いを表したもの(6段階)」です。

障害支援区分は、認定調査の結果や医師の意見書によって判定されます。

障害者手帳の有無は障害支援区分に関係ありません。

ちなみに就労移行支援の場合は、障害支援区分が何であっても(非該当でも)利用できるのであまり気にする必要はありません。

発達障害のグレーゾーンや境界知能の人は?

基本的に健常者は就労移行支援を利用できませんが、発達障害のグレーゾーンや、境界知能(知的ボーダー)の人なら、就労移行支援を受けられる可能性があります。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

一度審査に落ちても審査請求が可能

障害福祉サービス受給者証の審査に落ちても、都道府県ごとに設置されている「障害者介護給付費等不服審査会」に審査請求が可能です。

場合によっては再審査が行われ、就労移行支援事業所を利用できる可能性があります。

※受給者証の申請は市町村ですが、審査請求は都道府県設置の審査会が行います。

障害者手帳の審査に落ちた人でも大丈夫?

障害者手帳の審査に落ちた人でも、就労移行支援を受けられる可能性は十分あります。

障害者手帳の審査基準と受給者証の審査基準は全く異なるからです。

就労移行支援の場合、障害福祉サービス受給者証は障害者手帳よりも取得するのが比較的容易です(※1)。

(※1)利用するサービスにもよりますが、就労移行支援は比較的症状が軽い人でも利用できます。

受給者証の取得は家族にバレる?

18歳以上であれば受給者証の申請に親の同意は必要ないので、申請時にバレることはありません。

ただし、家族と同居している場合は、市区町村や事業所、病院などからの郵送物や電話でバレる可能性があります。

どうしてもバレたくない場合は、連絡先を自身の電話番号にしたり、関係先からの郵便物を郵便局留めにしてもらったりなど対策しましょう。

それでも障害者手帳はあったほうがいい

就労移行支援は障害者手帳なしでも利用できますが、障害者手帳にも多くのメリットがあります。

「面倒だから」という理由で申請していないのであれば、もったいないです。

障害者手帳の「メリット・デメリット」や「申請方法」を解説します。

↓就労移行支援は工賃もらえる施設も?
就労移行支援は給料/賃金なし!工賃もらえる施設4選

障害者手帳のメリット/デメリット

メリット

・障害者雇用で就職できる

・障害者控除により家族や自身の税金が軽減される

・公共料金や交通費、スマホ代、施設利用料など割引されることがある

・失業保険の給付日数が長くなる(※1)

・その他、いろんな場面で障害者であることの証明に使える

※1:失業保険とは失業した際に受け取れる公的給付金のことです。障害者手帳を持っている場合などは「就職困難者」となり、給付日数が90日~240日→150日~360日に伸びます。(参考:ハローワーク基本手当の所定給付日数

就労移行支援を利用する人にとっての最大のメリットは「障害者雇用で就職できる」です。

障害者手帳なしのままでは、就労移行支援は利用できても、障害者雇用で就職はできません。

健常者と同じ一般枠での応募に限られてしまいます。

ガイドさん

障害者手帳なしで就労移行支援を利用し始めても「通っている間に取得すれば」障害者雇用で就職できるよ。

その他、金銭的に何かと助かるので、可能なら障害者手帳の申請をしましょう。

デメリット

・特になし

デメリットは特にありません。

筆者も障害者手帳を取得して何年か経ちますが、取得したことによるデメリットは特に感じていません。

割引やサービスの利用など、恩恵を受けられるときだけ手帳を提示しています。

ガイドさん

人によっては「自分が障害者」だと認めることに抵抗感あるかもしれないけど、余計なプライドは捨てたほうが、いろんな福祉の恩恵を受けられて楽になれるよ。

↓失敗しないための選び方とは?↓
就労移行支援事業所の選び方

障害者手帳の取得はまわりにバレる?

基本的には、自分から「障害者手帳を持っている」と言わない限り、まわりにバレることはありませんし、言う必要もありません。

障害があるか否かは「個人のプライバシー」だからです。

ガイドさん

ただし、障害福祉サービス受給者証と同じで「役所からの連絡や更新通知」などで、同居人にバレる可能性はあるよ。

どうしてもバレたくない場合は、連絡先を自身の電話番号にしたり、役所障害福祉課や保健センターからの郵便物を郵便局留めにしてもらったりなど対策しよう。

障害者手帳があってもクローズ就労はできる

クローズ就労とは、障害者が障害を持っていることを隠して働くことです。

障害者雇用でない限り、会社側に障害者手帳を提示す必要はありません。

なので、障害者手帳を取得しても、障害を隠したまま一般枠でも就職できます。

ガイドさん

基本的には会社にバレないけど、前年度に障害者控除ありで確定申告等していた場合、年末調整のタイミングでバレる可能性があるから注意だよ。

障害者控除を申告しなければバレないよ。

障害者手帳の申請方法

障害者手帳には以下の3種類があります。

手帳の名称障害の種類
精神障害者保健福祉手帳精神障害、発達障害(※2)
療育手帳(※1)知的障害
身体障害者手帳身体障害

※1:愛の手帳(東京都・横浜市)・愛護手帳(青森県・名古屋市)・みどりの手帳(さいたま市)など自治体によって、名称が異なる場合があります。

※2:発達障害者が知的障害を伴う場合は、療育手帳を取得する方もいます。

手帳申請の流れは以下の通りです。

精神障害の場合、初診日から6か月経過しなければ申請できません。

障害者手帳の申請の流れ

1.市区町村役場の障害福祉課に申請したいと伝え、障害者手帳用の診断書をもらう(※1)

2.病院で医師に診断書を書いてもらう

3.市区町村窓口に書類を提出

※1:障害年金証書を持っている方は診断書不要です。申請時に障害年金証書の写しを提出してください。

知的障害者の場合は、自治体により方法が異なります。

市区町村の障害福祉窓口から専門機関に判定予約してくれる場合と、申請者が専門機関(※1)に連絡して予約する場合とに分かれますが、とりあえず市区町村の窓口で相談してみましょう。

※1:申請者が18歳以上の場合は知的障害者更生相談所、18歳未満の場合は児童相談所。

必要な持ち物

・診断書(知的障害を除く)

・印鑑(認印)

・本人の顔写真(証明写真:縦4cm×横3㎝)

・本人のマイナンバーがわかる書類(※1)

※1:マイナンバーカード、通知カード、マイナンバー記載のある住民票の写し

※自治体によって必要な持ち物が異なる可能性があります。担当者の指示に従ってください。

上記は、窓口に申請書等を提出する際の持ち物です。

申請書は窓口で受け取って、その場で記入すれば大丈夫です。

申請書を自治体HPなどからダウンロードできる場合は、あらかじめ記入して持って行っても構いません。

手帳は申請から1~3か月ほどで交付されます。

まとめ

  • 就労移行支援は障害者手帳なし&診断書なしでも利用可
  • 手帳なしの場合「主治医の意見書」や「自立支援医療受給者証」など必要
  • 障害福祉サービス受給者証(就労移行)は比較的軽い症状でも取得可
  • 「障害者雇用に応募できる」など障害者手帳はメリットが大きいのでできれば申請したほうがいい

当記事がお役に立てば幸いです。

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