就労継続支援B型

精神障害者が感じる就労継続支援B型のデメリット・メリット

ヤンネコ

精神障害者もB型事業所に通える?

もちろん!利用者の約3分の1は精神障害者だよ。

ガイドさん

就労継続支援B型事業所(B型作業所)とは、一般企業で働けない障害者が、社会復帰のために就労訓練を行う施設です。

1日1~6時間・週1~5日ほどの通所(または在宅利用)で簡単な作業をこなし、月額1万~2万円の工賃がもらえます。

利用者の約36%が精神障害者で、全国で十数万人の精神障害者がB型事業所へ通っています。

利用者の障害種別割合

就労継続支援B型事業所の利用者の障害種別割合

※発達障害者は「知的」「精神」いずれかに含むと考えられます。

※令和元年12月データ

※参考:厚生労働省「利用者の障害種別分布状況(就労継続支援B型)」

うつ病や統合失調症をはじめ、様々な精神障害を抱えた人がB型事業所を利用中です。

利用者の精神障害【例】

うつ病、躁うつ病(双極性障害)、統合失調症、解離性障害、強迫性障害、摂食障害、適応障害、パーソナリティー障害、パニック障害、社会/社交不安障害、てんかん、PTSD、高次脳機能障害、依存症(薬物/アルコール/ギャンブル等)‥など

どんな病気か障害かを問わず、医師の意見書、自立支援医療受給者証、精神障害者保健福祉手帳、障害年金証書等のいずれかを持っていればB型事業所を利用可能です(市区町村により異なるケースあり)。

体調に不安があったり、対人恐怖があったりする精神障害者に、B型事業所は非常におすすめできます。

以下で解説するメリット・デメリットをよく理解してから、施設を探してみましょう!

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就労継続支援B型のメリット

精神障害者が感じられるB型事業所のメリットを8つ紹介します。

ちなみにB型事業所は、就労経験(職歴)なしでも通えます。

体調に合わせて通いやすい

精神障害者にとっての、B型事業所の最大のメリットは「体調に合わせて通いやすい」ことです。

最大で1日4~6時間、週5日通える施設が多いですが「1日1時間」「週1日」から通うなど、相談すれば時間や日数を柔軟に対応してもらえます。

最低利用時間は施設により異なるので、各B型事業所へおたずねください。

他の就労支援サービスとの違い
通所に対する厳しさ
就労継続支援B型【やさしい】★
1日1~6時間、週1~5日の間で柔軟に通える施設が多い。欠勤/遅刻/早退にあまり厳しくない。
就労移行支援【やや厳しい】★★★
1日2~3時間、週1日から通える施設もあるが、就職のため、最終的には遅刻早退なしで1日4~6時間、週4~5日ほどの通所が求められる。
就労継続支援A型【厳しい】★★★★★
基本的に1日4~6時間、週5日の通所が求められる。雇用契約を結ぶので欠勤/遅刻/早退に厳しい。

※上記は一般的な傾向です。施設により差があります。就労移行支援や就労継続支援A型、生活介護、精神科デイサービスから就労継続支援B型へ移行する人も一定数います。

B型事業所では、休みすぎ/休みがちでも、基本的にクビにはなりません。

施設ごとにも差はありますが、欠勤や遅刻・早退に対して厳しくないのが特徴です。

「週5日はキツイ」または「1日3時間以下がいい」といった人は、まずはB型事業所に通ってみましょう。

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コミュニケーション苦手な人にやさしい

精神障害者のなかには「人が怖い」「コミュニケーションが苦手」という人も少なくないでしょう。

B型事業所は「コミュニケーションが苦手な人」に対しても、やさしく接してくれるので、通いやすいという評判が多くあります。

職員や利用者ともに障害に対して理解があり「一般社会ではよく怒られていた・うまくいかなかった」という人も過ごしやすい雰囲気があります。

ガイドさん

コミュニケーションの練習の場としても最適だよ!

「人と接すると緊張する人」「引きこもっている人」などに、社会復帰の一歩やリハビリとしておすすめできます。

ただし、施設によって雰囲気や障害への理解度はバラバラなので、通う施設の評判や口コミは必ずチェックしておきましょう。

在宅ワークが可能な施設もある

在宅支援をしているB型事業所も多くあります。

在宅訓練が可能であれば、家に居ながらチャットやビデオ通話を用いて作業に参加できます(原則月1回は通所または職員が訪問)。

パソコンの貸し出しをしている施設や、通所と並行して利用できる施設もあります。

在宅勤務のメリット

・人と会わなくていいので対人恐怖があっても安心

・体力的に続けやすい

「いきなり人と接するのは怖いな‥」という人は、はじめ在宅利用して徐々に通所に切り替えていくという手もあります。

精神的にも体力的にも利用しやすくなるので、精神障害者にとってはメリットの大きい通い方といえるでしょう。

簡単な作業が多い

就労継続支援B型には、軽作業のほか「IT系、イラスト/デザイン、接客/調理、農作業、eスポーツ(ゲーム)、清掃‥」など、非常に多様な種類の訓練があります。

作業をすることで月額1万~2万円ほどの工賃ももらえます。

ガイドさん

なかには月額10万円以上もらえるケースもあるよ!

施設や作業内容ごとにも差はありますが、基本的には「一般企業でのアルバイトよりも簡単な作業」ばかりです。

一般社会で「仕事ができない」と言われた人もB型事業所でなら活躍できます。

A型事業所と比べても、B型事業所の作業のほうが一般的には簡単です。

「ケアレスミスが多い」「作業スピードが遅い」などの悩みを持つ精神障害者でも、ハードルが低いので気軽に通えます。

ちなみに、イベントやレクリエーションを行っているB型事業所も多数あります。

余暇活動【例】

バーベキュー、お花見、卓球、バドミントン、ボウリング、スイーツ作り、調理実習、カードゲーム、餅つき大会、公園へ散歩、忘年会、クリスマス会、いちご狩り・水族館などへのお出かけ、節分

余暇活動は基本的に参加は自由です。「余暇活動が楽しみ!」という利用者も多くいます。

まわりのプレッシャーが弱まる

精神障害者のなかには「働かずに家にいてばかりで肩身が狭い」という人も多くいるでしょう。

B型事業所に通えば「社会復帰に前向き」という姿勢をまわりへ見せられます。

B型事業所に通うと‥

・家族へ「社会復帰に前向き」という姿勢を見せられるので、精神的プレッシャーが軽減される

・家にいる時間が短くなり、自分も家族もストレスが減る

「家」以外に自分の居場所を持つと、精神的な健康にプラスの影響があります。

「家族(またはケアマネージャー)から社会復帰のプレッシャーを感じる‥」という悩みを持つ人は、近くのB型の見学だけでもしてみましょう。

ガイドさん

引きこもりやニートの人に特におすすめだよ。

ほとんどの人が無料で通える

ほとんどの人がB型事業所を無料で利用できます。

生活苦になりやすい精神障害者にとっては、とてもありがたい料金形態です。

利用料金について、詳しくは以下の記事をお読みください。

非常に多くの施設から選べる

「施設数が非常に多い」のもB型事業所の特徴です。

令和4年時点で全国に15,588か所もあります(※1)。

※1:就労移行支援:3,353施設、就労継続支援A型:4,130施設|参考:厚生労働省「令和4年 社会福祉施設等調査の概況」

施設数が多いことによるメリット

・近くの施設を見つけやすい

・多くの候補から自分に合った施設を選べる

・選択肢が多いので、合わなければ気軽に施設を変えられる

「近くの施設」「自分に合った施設」を見つけやすいのは、大きなメリットと言えるでしょう。

就労継続支援B型のデメリット

B型事業所の全般のデメリット、精神障害者にとってのデメリットを紹介します。

就職支援は手厚くない

施設にも差がありますが、B型事業所は就職支援が手厚いわけではありません。

B型から一般就労する人もいますが多くはありません。

B型から一般就労

・一般就労移行率は13.2%(※1)

・約10人に1人は就職している

※1:サービス利用終了者のうち13.2%は就職しているという意味です。就職希望者以外も計算に含まれています。

参考:厚生労働省「障害者の就労支援について」

「数か月または1~2年の間には就職したい!」という人は就職支援に特化している「就労移行支援」の利用を検討しましょう。

ガイドさん

就労移行支援は「PC訓練」「面接練習」「履歴書添削」など就職支援が充実しているよ。

ただし、就労移行支援は原則2年間しか通えないので、体調や社会復帰に不安が大きい人は、まずはB型事業所を利用したほうがよいでしょう。

「B型事業所から就労移行支援を目指して、その後就職する」という利用の仕方はありです。

就職以外では、B型事業所をやめた後、他のB型事業所へ移ったり、A型事業所へステップアップしたりするなどの選択肢があります。

年齢や利用期間に制限はないので、50歳、60歳以上になっても‥ずっとB型事業所を利用し続けてOKです。

セルフケアは学べない 

就労移行支援とは違い、就労継続支援では体調管理を自分で行う「セルフケア」は基本的に学べません。

セルフケアとは?

自身の障がいの症状に適切に対処することを言います。セルフケアを身につけると「体調の波を軽減させたり、まわりに必要な支援を求められたり」できるようになります。例えば認知行動療法を取り入れたりチェックシートを付けたりして学びます。精神的に体が楽になるテクニックを身につけられます。

セルフケアを学びたい人(かつ就職目指す人)は就労移行支援をおすすめします。

ただし、B型事業所によってはセルフケアに力を入れているところもあるので、興味のある人は探してみてください。

作業所は変な人ばかり?

B型事業所には様々な障害や病気を抱えた人が通っています。個性豊かな人ばかりですが、一生懸命まじめに作業に取り組む人が大半です。ときにはトラブルもありますが、人間関係の良い勉強になります。施設によっても利用者層は異なるので、見学でよく確認しましょう。

工賃が安い

就労継続支援B型の平均工賃は月額16,507円です。

利用中は、家族の援助や生活保護、障害年金など、工賃以外に支援がなければ生活できません。

B型事業所は、一般就労やA型事業所で働けない人が利用できる反面、雇用契約を結ばないため「最低賃金が保障されない」というデメリットがあります。

労災保険や雇用保険などの社会保険も適用されません。

「週5日安定して通所できる人・少し厳しい環境でも大丈夫そうな人」は月額6万~10万円ほどの給料がでるA型事業所も検討してみましょう。

ガイドさん

B型かA型か迷ったら、近くの施設を両方見学してみよう!A型の利用条件もチェックしておこう。

ただし、A型事業所のほうが利用要件がやや厳しいので注意が必要です(詳細は以下)。

※:厳密にはB型事業所の訓練は労働ではありません。そのため収入は「給料」ではなく「工賃」と呼ばれます。平均工賃の参考:厚生労働省「令和3年度工賃(賃金)の実績について」

作業が簡単すぎる

B型事業所は一般企業やA型事業所で働くのが難しい人向けなので、簡単な作業が多くあります。

基本的にはメリットですが、もともと作業能力の高い一部の精神障害者の方からすれば「意味ない」「つまらない」と感じることもあるかもしれません。

特に内職のような単純作業は「簡単すぎて逆にしんどい」「ストレスたまる」という声も一部にあります。

単純作業が嫌いな人は「IT・イラスト・デザイン・動画編集・eスポーツ・接客・パン作り・農作業・清掃」など‥、自分が楽しいと思えそうなB型事業所を選んでみましょう!

ヤンネコ

行く意味を感じられないと、行きたくなくなるよね‥。

B型に向いてる精神障害者【まとめ】

ここまで解説したメリット・デメリットをふまえてB型事業所に向いている精神障害者の特徴をまとめてみました。

B型に向いてる精神障害者

・コミュニケーション苦手な人

・社会復帰は怖いけど自分を変えたい人

・体調に合わせて利用したい人

・家族やケアマネージャーからのプレッシャーがつらい人

ガイドさん

いきなり通うのが怖い人は在宅ワークができるB型を探してみよう!

「すぐに就職したい人」「生活費のあてがない人」などは向いていません。

B型事業所に少しでも興味があるなら、ぜひ近くの作業所を探して見学してみましょう!

見学の前に「評判や口コミのチェック」も忘れずに行いましょう。

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