就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型

障害者の作業所とは?精神/発達/知的障害者等におすすめな理由

ヤンネコ

作業所ってどんなとこ?

障害者が日中通える就労支援事業所だよ。

ガイドさん

作業所とは、障害者や難病患者が「就労訓練」や「他人との交流」を目的として、日中に通う施設のことです。

昔は無認可の福祉作業所も多くありましたが、現在では法整備され、障害福祉サービスとして無料で利用できるものも多くあります(※1)。

※1:高所得の方は料金が必要です。詳しくは「作業所の利用料金」で解説します。

精神障害者、発達障害者、知的障害者、身体障害者、難病患者のいずれかで「一般就労が困難な人」または「就職を目指す人」が対象です。

  • 就職したけど仕事が長続きしない人
  • 引きこもりやニート
  • 就活がうまくいかなかった人
  • 社会復帰を目指している人
  • 社会参加の居場所が欲しい人

などにおすすめできます。

筆者も、作業所に数年間通っていましたが「通ってよかった!」と思っています。

コミュニケーション能力が改善されたり、スキルアップして自信がついたりなど、行く意味はありました。

作業所の「種類」や「利用条件」「利用方法」など解説します。

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障害者の作業所とは?

作業所とは、一般企業等に就職できなかったり、仕事が長続きしなかったりする地域の障害者/難病患者のために「働く場」「交流の場」を提供する施設のことです。

日中に短時間通って、就労訓練により工賃を得たり、生活・就職支援をしてもらえたりします。

もともとは「小規模作業所」「共同作業所」「授産施設(授産所)」「福祉作業所」などと呼ばれていましたが

2006年10月施行の障害者自立支援法(現:障害者総合支援法)」により「就労移行支援事業所」「就労継続支援A型・B型事業所」などへの移行が進められてきました。

現在では「作業所」というと、今のサービス体系である「就労移行支援事業所」や「就労継続支援事業所」を指すことが多くあります。

特に「B型作業所」「A型作業所」‥といったように、就労継続支援事業所を指すケースが多いです。

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作業所の種類

前述のように、現在では、障害福祉サービスである以下などを指して、作業所と呼ぶことがあります。

  • 就労移行支援事業所
  • 就労継続支援B型事業所
  • 就労継続支援A型事業所

いずれも「障害への配慮」を受けながら通えるので、一般企業よりは過ごしやすい環境が整っています。

通所が一般的ですが、事業所によっては「在宅支援(在宅ワーク)」が可能なところもあります。

3つの就労支援事業所の違いは、以下の通りです。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、就職特化型の訓練を受けられる施設です(全国に約3,000か所)。

「就職」や「就職後の安定した就労(職場定着支援含む)」を目的として障害者たちが通っています。

週1回半日から通える事業所もあり、体調管理・セルフケアなど学びながら、少しずつ通所頻度を上げていくことも可能です。

1日の利用時間は、最大でも4~6時間ほどです。

最終的には週4~5日など、自身が目指す就労に必要な日数や時間だけ、安定して通えるようになる必要があります。

訓練内容/支援内容の例

・スキルアップ訓練(パソコン、IT、デザイン、清掃、軽作業等)

・コミュニケーション訓練

・ビジネスマナー講習

・面接対策/履歴書添削

・模擬就労/職場実習

・体調管理/セルフケア

・運動/レクリエーション

・資格取得サポート

訓練や支援の内容は事業所ごとに異なります。実際の訓練や支援の内容は、各事業所への見学やHP等でお確かめください。

もちろん、職員への就職相談も可能です。

ただ1点だけ、就労移行支援のみ「原則2年」という利用期限があるので、注意してください。

「一般就労の意欲が高くない人」「まずは社会参加の練習をしたい人」は、次の就労継続支援B型事業所のほうがおすすめです。

就労継続支援B型事業所

就労継続支援B型事業所(B型作業所)は、ハードルの低い環境で就労訓練を受けられる施設です(全国に約16,000か所)。

就労訓練といっても、出欠や作業時間は利用者の自由度が高く、実際には「居場所」や「他人との交流」を目的として、通っている人も多くいます。

利用期間に制限はありません。

次に紹介する就労継続支援A型との大きな違いは「雇用契約を結ばない」点にあります。

ガイドさん

基本的には「B型事業所」は「A型事業所」ほど厳しくないよ。

1日1時間、週1回から通えるところが多く、3つの就労支援サービスの中で、もっとも通いやすい(ハードル低い)のが特徴です。

最大で1日4~6時間、週5日ほど通えるのが一般的です。

将来的には、B型からA型へ移る人、B型から一般就労をする人もいます。

B型事業所がおすすめな人

・ハードル低い環境から社会参加したい人

・日中の居場所が欲しい人

・引きこもり、コミュニケーション障害などで人との関りに自信が持てない人

作業は、内職系の軽作業など、一般企業の業務より簡単なものが中心ですが

近年は「イラスト・漫画・アニメ制作、パソコン、webデザイン」など、IT系やクリエイティブ系の訓練を行える事業所も増えてきました。

作業内容の例

・軽作業(組み立て/検品/データ入力等)

・IT系(HP作成/プログラミング)

・イラスト、デザイン

・動画制作、音楽制作

・eスポーツ(ゲーム)

・飲食(接客や調理補助)

・ハンドメイド(雑貨やグッズ制作)

・農作業

・クリーニング、清掃

就労継続支援B型では、作業対価として「工賃」という給料の代わりになるお金がもらえます。

工賃は全国平均で月額 約17,000円ですが、実際には月額5,000円未満のところもあれば、月額5万円以上のところもあるなど、施設格差があります。

就労継続支援A型事業所

就労継続支援A型事業所(A型作業所)は、雇用契約を結んでの就労訓練が行える施設です(全国に約4,000か所)。

雇用契約を結んでいるだめ最低賃金が保障され、月6万~10万円ほど(※1)の給料がもらえます。

※1:全国的にめずらしいですが、月収10万~30万円の給料をもらえるところもあります。

B型事業所よりも高い賃金ですが、その分「1日4~6時間、週5日ほどの安定した通所」や「最低賃金を支払えるだけの作業レベル」を求められます。

A型事業所がおすすめな人

・週5日安定した通所ができる人

・一般就労は難しいがB型事業所では物足りない人

事業所によっても差はありますが、基本的にB型事業所よりも厳しいので、自信のない人は、まずB型事業所に通って、自信がついたらB型からA型へステップアップするとよいでしょう。

A型事業所は、主に「就労経験のある人」や「就活をがんばったけど就職できなかった人」が対象です。

仕事内容はB型事業所と同じく、事業所ごとに全く異なります。

仕事内容の例

・軽作業(組み立て/検品/データ入力等)

・IT系(HP作成/プログラミング/CAD等)

・イラスト、デザイン

・動画制作

・eスポーツ(ゲーム)

・飲食(接客や調理補助)

・ハンドメイド(雑貨やグッズ制作)

・農作業

・クリーニング、清掃

就労移行支援や就労継続支援B型とは違い、就労継続支援A型で行うのは「仕事」です。

B型事業所以上に作業レベルや作業スピードは求められますが、一般企業よりは基本的に楽です。

筆者も数年間、A型事業所を利用していましたが「一般企業で働くのは難しいけど、アルバイト並みの給料が欲しい‥(かつ週5日安定して働ける)」という人にはかなりおすすめできます。

A型事業所も利用期間に制限はありません(施設によっては定年あり)。

対象者や利用条件

ヤンネコ

作業所はどんな人が通えるの?

各支援サービスの対象者やおすすめな人は、これまでに説明した通りですが‥

就労移行支援は「就労を希望する障害者や難病患者」、就労継続支援A型・B型は「一般就労が困難な障害者や難病患者」であることが、主な利用条件です。

就労継続支援A型は「雇用契約を結んで働ける(≒安定して週5日通所できたり、作業がきちんとこなせたりする)」ことも条件となります。

グループホームと併用して利用することも可能です。

「対象疾患」や「必要なもの」「年齢制限」など解説します。

特に記載がなければ、いずれの就労支援にも共通する事項だと思ってください。

対象となる障害や疾病

例えば、以下の障害や難病を持っている場合に利用できます。

就労移行支援も就労継続支援も同じです。

対象となる障害や疾患の例
種類障害・病気の例
精神障害うつ病、躁うつ病(双極性障害)、統合失調症、解離性障害、強迫性障害、摂食障害、適応障害、パーソナリティー障害、パニック障害、社会不安障害、てんかん、PTSD、高次脳機能障害、薬物依存症、アルコール依存症など‥
発達障害広汎性発達障害≒自閉症スペクトラム障害(ASD:自閉症、アスペルガー症候群など)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD:読字障害、書字表出障害、算数障害など)、コミュニケーション障害など‥
知的障害知的障害の重さに制限はありませんが、軽度~中度の知的障害者が多く通っています。
身体障害視覚障害、聴覚または並行機能の障害、音声機能障害、言語機能障害、咀嚼機能障害、肢体不自由、内部障害(心臓機能障害、腎臓機能障害、肝臓機能障害、呼吸機能障害、ぼうこう・直腸機能障害、小腸機能障害、免疫機能障害)など‥
難病筋ジストロフィー、クッシング病、筋萎縮性側索硬化症、骨形成不全症、クローン病、混合性結合組織病、潰瘍性大腸炎、高安動脈炎、ジストニアなど‥(※1)

※1:厚生労働省が指定している「対象疾病(難病等)」に当てはまれば、難病患者も作業所を利用できます。

難病以外は、特に疾患名ごとに対象か否かが決まっているわけではありません。

精神障害、発達障害、知的障害、身体障害、いずれかに当てはまれば利用できます。

ガイドさん

軽度から重度まで、幅広い利用者層がいるよ。

大人の発達障害を持っている人も利用できます。

グレーゾーン、ボーダー(境界知能)など、障害か微妙な人や、診断名がつかない場合でも、利用できることがあります。

障害者手帳なしでも利用可

就労支援事業所(作業所)は、障害者手帳なしでも利用可能ですが、手帳がない場合は、代わりに以下のいずれかが必要です(※1)。

※1:一部の自治体では障害者手帳が必須です。身体障害者は原則、障害者手帳が必要です。

  • 医師の意見書(診断書)
  • 障害年金証書
  • 自立支援医療受給者証
  • 特別支援学級/特別支援学校の利用実績

自治体により、必要なものが異なることがあります。上記は参考程度にお考え下さい。

上記の中で最も入手しやすいのは「医師の意見書」です。

病院に通っている人なら、2,000~5,000円ほどで作成してもらえます。

利用サービスを決めてから「就労〇〇支援を利用したい」と伝えて、作成してもらいましょう。

年齢制限

各就労支援サービスの年齢制限は、以下の通りです。

サービス種類下限上限
就労移行支援原則18歳以上(例外あり※1)原則65歳未満(例外あり※2)
就労継続支援A型
就労継続支援B型上限なし(※3)

※1:18歳未満でも15歳以上で児童相談所が許可した場合は利用できます。

※2:65歳に達する前5年間障害福祉サービスの支給決定を受けていた人で、65歳に達する前日において各支援の支給決定を受けていた人は、65歳以上でも引き続き利用可能です。

※3:制度としては65歳以上の高齢者でも利用できることになっていますが、自治体によっては利用が難しい場合もあります。

※参考:厚生労働省「障害者の就労支援について」

利用料金

ガイドさん

作業所や自治体によっては、交通費補助が出る場合もあるよ。

作業所(就労支援事業所)は、9割以上の人が無料で利用しています。

具体的には「生活保護」または「住民税非課税」世帯なら、利用者負担(利用料)0円で利用できます。

住民税課税世帯の場合は、課税状況に応じて自己負担上限額(多くてもここまでしか掛からない金額)が決められています。

区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯(※1)0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円未満※2)(※3)9,300円
一般2上記以外37,200円

※1:3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象となります。

※2:収入が概ね670万円以下の世帯が対象になります。

※3:入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。

※参考:厚生労働省「障害者の利用者負担」

「一般1」「一般2」の場合、上限に達するまでは「1日数百円程度×利用日数」の分、利用料がかかります。

所得を判断する際の世帯範囲は以下の通りです。

種別世帯の範囲
18歳以上の障害者(※1)障害者本人と配偶者
障害児(※2)保護者の属する住民基本台帳での世帯

※1:施設に入所する18,19歳を除く。

※2:施設に入所する18、19歳を含む。

※参考:厚生労働省「障害者の利用者負担」

各区分の年収目安など、利用者負担の詳細は、以下の記事をご覧ください。

当サイトの計算ツールで、年収から、ざっくりとした区分判定をおこなうことも可能です。

利用の流れ・利用方法

作業所(就労支援事業所)に通うには、以下の流れで手続きを進めていきます。

  • 1.事業所探し

    インターネットなどで事業所を探します。公式HPだけでなく、評判や口コミもチェックしておきましょう。

  • 2.見学

    気になる事業所があれば見学や体験をします。事前にメールや電話で見学の予約を取るとよいでしょう。

  • 3.市町村役場に申請

    お住いの市区町村役場の障害福祉課で、利用申請の手続きを行います。利用条件を満たしているかなどの審査があります。

  • 4.障害福祉サービス受給者証が届く

    審査に通ったら、障害福祉サービス受給者証と呼ばれる各サービスを利用するための手帳が届きます。届いたら通う予定の事業所へ連絡を取り、利用契約を結びます。受給者証も持っていきましょう。

  • 5.利用開始

    事業所との話し合いで通所開始日を決定し、利用開始となります。

よくわからない場合でも、施設や役所の職員が丁寧に案内してくれるので、コミュニケーション苦手な人でも大丈夫です。

A型事業所(A型作業所)で働くには、一般のアルバイトと同様、面接も受ける必要があります。

A型のみ以下の手順も必要

・面接前にハローワークで紹介状を発行してもらう

・履歴書を用意し面接を受ける

・事業所と雇用契約を結ぶ

まとめ

当記事のざっくりとしたまとめです。

  • 作業所とは、一般企業等に就職できなかったり、仕事が長続きしなかったりする障害者/難病患者のために「働く場」「交流の場」を提供する施設のこと
  • 昔は「小規模作業所」「共同作業所」「授産施設(授産所)」「福祉作業所」などと呼ばれていた
  • 現在では「就労移行支援事業所」「就労継続支援A型・B型事業所(特にこちら)」を指すことが多い
  • 早めの就職を目指す人は、就労移行支援がおすすめ
  • それ以外の人は、週1~4日からなら就労継続支援B型、週5日安定して通えるなら就労継続支援A型がおすすめ

作業所に興味がある人は、まずはお近くの事業所を探してみましょう。

ガイドさん

「医者や家族にすすめられたけど行きたくない!」と思っている人はもったいないよ。

楽しんで通っている人もいるし、就労支援が就職や社会復帰につながった人も大勢いるよ。

人によって事業所の当たりハズレがあるので、評判や口コミはチェックしておきましょう。

人間関係や雰囲気、職員の質なども、事業所ごとに様々です。

合わなければ、辞めて別の事業所に通っても問題ありません。

見学や体験を行っているところも多いので、ぜひ一度行ってみて、複数の事業所を比較してみましょう。

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